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そして俺たちに「すっげー可愛い子がニコニコしながらドアの前にいるんだけど…」 
と言ってきた。 
その間も何度もチャイムが鳴らされている。 

それを聞いてCが「お前マジなのかよ…何で後つけられてるんだよ…」と言ってきた 
が、そもそも俺にもなんで後をつける事ができたのかがわからない、俺は「ひとまず 
ほんとにアケミちゃんかどうか自分の目で見てくる」といって、同じく足音を立てないように 
玄関に向かうと、ドアスコープで外を覗いてみた。 

そこには困惑気味な顔をしたアケミちゃんがいた… 

これはかなりヤバイ、てかなんで着いてきているのかと、俺たちそんな仲ではなかっただろ? 
ちょっと電車内で会話しただけだろ?理不尽すぎね?と思いながら、ひとまず部屋まで 
戻ると3人に間違いなくアケミちゃんである事を伝えた。 
そして4人でこれからどうするかを相談した。 
まず居留守作戦は使えない、部屋の電気がついているし、さっきまで結構大きな声で 
話していたのだから、在宅なのはモロバレだ、次にひとまず俺はクローゼットの中に 
隠れAが応対して、俺の事を聞かれてもそんなやつ知らない、何かの間違いだろうと 
しらを切る作戦を考えたが、相手は文字通り「アレな人」な可能性があるからそれで 
納得するか未知数なうえに、凶悪な武器持ちだ、ドアを開けるのは危険すぎる。 

そんな話をしていると、外からアケミちゃんが「○○(俺の名前)くーん、ここにいるよね? 
入っていくの見てたよー、何で逃げるの?酷いよ、ちゃんとせつめいしてよー」と 
声が聞こえてきた。 
Aが「お前モロにつけられてんじゃねーか、てか自分の名前言ったのかよ!どうすんだよ!」と 
焦り気味に言ってきた。 
前の駅で降りてここまでタクシーできたのにどうやって後をつけたのか、色々疑問は残るが、 
今更そんな事を考えても仕方がない。 

俺たちがそんな会話をひそひそ声でしていると、今度はドアのほうから 

キィ!ギギギギギギギギ!キィ!ギギギギギギギギギギギギ! 

と金属同士がこすり付けあうような、非常に不快な音がし始めた。 
Aがまたドアの方に行き外をうかがって戻ってくると、「おいなんかやべーぞ、包丁でドア 
を引っかいてやがる…マジでヤバイ人じゃねーか!」と声を殺しなら言ってきた。 
その間も「○○くーん」と俺を呼んだり「ちゃんと出てきてお話しようよ」と、行動と言動が 
全くかみ合わない事をやっている。 

この騒ぎでお隣さんがキレてしまったのだろう、ドアごしに「うるせーぞ!何時だとおもってる!」 
と怒鳴り声が聞こえてきた。 
そして金属音もアケミちゃんの声も止まり一瞬の沈黙のあと、「うわっ!なんだこいつ!」という 
声がしてその後にドアが激しくバタン!と閉まる音がした。 

そしてまた例の 

キィ!ギギギギギギギギ! 

という音が鳴り響く。 
何事が起きたのかと、隣の人は大丈夫なのかと、明らかに状況がどんどん悪化してきている、俺たちはその 
後もあれこれと対策を考えたのだが、その場の思いつきの付け焼刃でどうにかなるとも思えず、どうすれば 
良いのかと考えていると、外からパトカーの回転灯の光が見えた。 
サイレンの音などは聞こえなかったが、どうやら誰かが警察を呼んだらしい。 
俺たちが助かったとほっとした瞬間、外から「待ちなさい!」という声の後に、誰かが駆け抜ける音 
がして、その後直ぐに静かになった。 
すると今度はドアチャイムが鳴り、警察官が「大丈夫ですかー?」とドア越しに声を 
かけてきた。 

どうやら助かったようだ。 
Aがドアをあけ、俺たち全員が事情を話すと、どうもアケミちゃんは警官1人を突き飛ばすと、アパートの 
一番奥のほうまでかけていき、フェンスをよじ登り逃げて行ったらしく、現在追跡中とのことだった。 
俺は彼女がアケミという名前である事、俺たちと同じ大学の学生であることをつたえ、ターゲット 
がどうやら俺である事から、暫らく俺のアパートの周囲を巡回してくれる事や、緊急時の連絡先 
等を仕えると帰って行った。 
ちなみに、警察に通報したのは隣の人だったらしい。 
隣の人が言うには、怒鳴りつけた途端にアケミちゃんが無言で中華包丁を振り回してきた 
ので、慌ててドアを閉めて警察に通報したということで、特に怪我をしたとかそういう事では 
ないとの事だった。 

ちなみに、大学に該当する学生は在籍していなかったそうです、というか、警察は結局身元の 
特定すらできませんでした。