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128 : 本当にあった怖い名無し[] 投稿日:2012/03/04(日) 12:32:26.32 ID:C8/Dhig30 [3/10回(PC)]
最初は怖がった従兄弟の誰かが泣いているのかと思ったそうです。 
しかしそれは「んーっ、んーっ」という唸り声で、しかも兄や従兄弟達を囲むように、 
周囲から聞こえてきます。 
「何か」が唸りながら、木々に紛れて自分達の周囲をぐるぐると回っている。 
そのことに気付いた瞬間、兄達はその場から逃げ出しました。 
皆必死になって山を下り、注連縄をはった鳥居のところまで逃げてきたのですが、 
その時兄が注連縄につまづき、注連縄はたわんでしまったそうです。 
兄がほんの一瞬だけ振り返った瞬間、大きく飛び跳ねながら追いかけてくる何かの 
姿が見えたそうです。 
兄達はそのまま神社に逃げ込み、拝殿へと戻ってきました。 
私はというと、兄達を待ちくたびれて居眠りしており、戻ってきた時に 
パニックを起こして泣いている従兄弟を見て、ただ驚いていました。 
この時は外で何があったのか、いくら訪ねても教えてもらえず、私はただ単に、 
抜け出したのが大人にばれて怒られたのかくらいに思っていました。 
そのまま何事もなかったかのように、再び兄が拝殿にこもったのですが、神楽舞の 
直前になって問題が発生しました。 


129 : 本当にあった怖い名無し[] 投稿日:2012/03/04(日) 12:33:06.62 ID:C8/Dhig30 [4/10回(PC)]
神楽舞の衣装に着替えている時、兄の左足首がひどく腫れていることがわかったのです。 
急きょ代役をたてることになり、一緒に練習した私が、舞い手を務めることになりました。 
朝まではなんともなかったので、兄は祖父や叔父から「何か悪さでもしたのか」と 
問い詰められていました。 
しかし兄や従兄弟は抜け出したことを黙っており、大人達も異変に気付いた様子は 
ありませんでした。 
神楽舞は確か、夕方頃から始まり、最初は女性が数人で踊ったりしていたように思います。 
舞の締めはいつも「剣を持った武士が龍のような妖怪を追い払う」踊りで、 
クライマックスの頃には周囲にかがり火を焚いて辺りを照らしていました。 
武士の舞い手も龍の舞い手(こちらは正月の獅子舞のように、二人一組でした)も、 
面をつけるのが決まりでした。 
そして舞いが終わった後、武士の舞い手は神社から少し離れた、山の中にある 
祠のような場所で一晩過ごすしきたりになっていました。 

舞の後、私もしきたりに従い、祠に入りました。 
一人きりは怖くてしょうがなかったのですが、外には一応、村の人が二人、 
付き添っていてくれました。 
時々声をかけてくれたのでそれほど怖い思いはせずに済んだのですが、 
三畳ほどの大きさの祠の中で、ろうそくの明かりを頼りに一人でいるのは、 
やはりあまりいい気分ではありませんでした。 
兄はこれを知っていたので、舞い手を嫌がったのだろうかなどと考えました。 
眠くなったら、祠の中でなら眠ってもいいと言われたので、疲れていた私は 
そのうちぐっすりと寝入ってしまいました。 
しかし寝入ってどれぐらい経った頃かわかりませんが、外からものすごい 
悲鳴が聞こえてきて、そこで目が覚めました。 



130 : 本当にあった怖い名無し[] 投稿日:2012/03/04(日) 12:34:28.20 ID:C8/Dhig30 [5/10回(PC)]
社の外でもかがり火をたいていたはずなのに、それが消えて真っ暗になっています。 
ろうそくの火もいつの間にか消えていて、私は外にいる村の人の名前を呼んだのですが、 
返事がありません。 
ただ「んーっ、んーっ」という、唸り声のようなものが聞こえてきます。 
村の人が怪我をして唸っているのかと思い、怖くなって、思わず祠の扉を開けました。 
すると扉のそばにいた私を突き飛ばすようにして、何かが中に飛び込んできました。 
飛び込んできた何かは祠の中をものすごい勢いでぐるぐると回り、やがてぴたりと 
止まりました。 
この日は満月ではなかったのですが、扉を開けると月明かりでかなりはっきり 
辺りを見ることができました。 
そして月明かりが差し込む祠の中に、異様なものが立っていました。 
はげ上がった頭に巨大な一つ目、一本足。 
そんな化け物が、私のほうを見ていました。 

化け物と目があった瞬間、私は悲鳴をあげて祠から飛び出しました。 
ただひたすら集落のほうへ逃げようと思ったのですが、辺りが暗いうえに 
祠周辺は初めて来た場所なので、どちらに行けばいいのかさっぱりわかりません。 
祠の横のほうに細い道が伸びていたので、ただひたすらそちらに向かって、 
泣きながら走りだしました。 
そのすぐ後ろを、あれが一本足で飛び跳ねながら追いかけてくる気配を感じていました。 
やがて少し開けた場所に出たのですが、そこは集落の入り口などではなく、 
幾つかの墓が並んだ古い墓地でした。 
隠れる場所も、逃げる場所もない。私はあれに捕まってしまうのだと思いました。 
それでも少しでも身を隠したくて、一番奥にある墓の裏手に回りこもうと駆け寄った時です。 
不意に墓石ががたりと揺れて倒れ、地面に空いた穴から何かが躍り出ました。 



131 : 本当にあった怖い名無し[] 投稿日:2012/03/04(日) 12:35:24.36 ID:C8/Dhig30 [6/10回(PC)]
墓から躍り出たのは、血塗れの刀を下げた鎧武者でした。 
肩に矢が刺さっており、兜をかぶっておらず、長い髪を振り乱しています。 
私は思わず大声で叫んで腰を抜かしてしまったのですが、鎧武者は私には一瞥もくれず、 
刀を下げて私が逃げてきた山道へと向かって駆け出しました。 
少し離れた場所で「んんんんんーっ!」という物凄い断末魔がして、それを 
聞いた瞬間、気を失ってしまいました。 

目を覚ましたのは翌朝でした。 
私と付き役の人達が戻ってこないのを不審に思い、神主さんをはじめとする 
祭の世話役の人が祠に向かい、そこで異変に気付いたとのことです。 
付き役の人達は特に外傷はなかったのですが、起こされるまで気を失っていたそうです。 
私は昼前に、古い墓地で叔父に発見されました。 
付き役の人達は何があったのか全く覚えておらず、私は泣きながら、昨晩一つ目の 
化け物が祠に来て追いかけられたことを大人達に話しました。 
すると誰かが「モッケが出たんか」と言い、神主さんが「×××を見てこい!」と、 
指示を出しました。 
ちなみに、私が隠れようとした墓石は倒れていましたが、地面に穴はあいていませんでした。