656 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2012/02/05(日) 23:01:15.55 ID:ZoSHRplE0 [5/13回(PC)]
女性はベンチに座り、自分の膝に肘をついて顔を手で被っていました。 
傘を持っていないのか、ずぶ濡れでした。 

一瞬驚きましたが、このまま見て見ぬ振りをすることができず、 
「どうしましたか?」と声をかけました。 
返事はありません。 

私はバイト先の傘をベンチに立てかけて言いました。 
「もう1本傘を持ってますので、これを使ってください。」 
返事はありません。 

少し不気味でした。 
傘を残しその場から離れ、家を目指しました。 


公園内の階段を上る途中で、やはりあの女性が心配になり、 
警察に連絡しようとしましたが、携帯がありません。 
バイト先で充電をしたまま忘れてきてしまったようです。 

最悪でした。 
でも携帯電話は必要でした。 
その日は確か木曜日で、月・火・水・木というバイトスケジュールだったので、 
どうしても取りに行きたかったのです。 

バイト先へ戻る為に、来た道を引き返します。


657 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2012/02/05(日) 23:02:39.82 ID:ZoSHRplE0 [6/13回(PC)]
傘を貸してからほんの2,3分しか経っていませんでしたが、ベンチに女性はいませんでした。 
その後小走りで公園の駅側の出入口まで行きましたが、女性は見当たらず。 
公園内にはトイレがあるため、そこに行ったのかと思い深くは考えませんでした。 

バイト先へ戻り、携帯を回収しました。 
寒かったのでホットコーヒーを飲みながら店長には傘の件を簡単に説明しました。 

店長は傘を見知らぬ女性に渡したことよりも、そこに女性がいたことについて怖がっていました。 
さらにはその状況で近寄るとかありえないし、そもそも公園のルートで帰るとかアホじゃないのかと言われる始末。 
ちなみに店長は女性です。 

怖がらせたくは無かったので、女性が無反応だったことや、終始手で顔を被ったままだったことは伏せ 

ておきました。 

店長にアホ呼ばわりされましたが、少し出来事を振り返りました。 
深夜24時過ぎに大雨の中、ひと気の無い公園でずぶ濡れになっている女性 
しかも話しかけても返事は無く、顔も手で被ったまま。 

・・・たしかに不気味です。 
その後は公園を通らずに帰りました。



659 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2012/02/05(日) 23:03:55.63 ID:ZoSHRplE0 [7/13回(PC)]
家に帰って1時間ほど経ちました。 
既に部屋の電気は消し、布団に入っていました。 

ピンポン 

インターホンが鳴ります。 
自宅は1ルームだったのですが、 
玄関が1階でドアを開けるとすぐに階段があり、部屋は2階という造りでした。 

備え付けのインターホンがカメラ付きだったので、 
人が来たときは階段を降りずに確認ができます。 

モニターを見るとさっきの女性が映っていました。 
手で顔を被っていました。 

ピンポン 

手で顔を被ったままなのに、インターホンが鳴ります。 

おかしい・・・ 

私はモニターを見つめたまま固まっていました。 
1分ほどするとモニターの画面が消えました。 
インターホンの仕様で呼び鈴に出ないと勝手に画面が消えるのです。



660 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2012/02/05(日) 23:04:58.97 ID:ZoSHRplE0 [8/13回(PC)]
その刹那ドアが 

ガチャガチャガチャガチャ 
ガチャガチャガチャガチャ 
ガチャガチャガチャガチャ 

もう泣きそうでした。 
布団をかぶり、震えつつもじっとしていました。 

30分くらい経つとまたインターホンが2回鳴り、 

ガチャガチャガチャガチャ 
ガチャガチャガチャガチャ 
ガチャガチャガチャガチャ 

朝4時まで続きました。 

5時なると店長が退勤の時間なので、電話をしました。 
店長はまだ店の中にいて、帰る準備をしていたそうです。 
店長に電話をしたのは、傘の件を話しているのが店長だけだったからです。 

この時は、携帯を取りに戻って本当に良かったと心の底から思いました。 
(自宅には固定電話を引いていませんでした。) 

「さっき傘を貸した女性が、家のドアをガチャガチャし続けてくるんです・・・」