787 : 本当にあった怖い名無し[] 投稿日:2012/01/21(土) 09:51:19.25 ID:5efLHkoC0 [1/2回(PC)]
Y子の思い出1 

遠い昔、小学2年生の時に体験した実話。 
夏休みのあと2学期がはじまり学校へ行くと、教室の窓際の机の上に花が置かれていた。 
まだガキだった僕はその意味を知らず気にも留めなかったのだが、 
家に帰ってその話をすると母が「夏休み中に誰か亡くなったのかな?可哀想に」という話。 
翌日学校へ行くと、あの花はもう無くなっていて席にはY子が座っている。 
「昨日、花無かった?」とさりげなく聞いても「知らない」という返事。 
1学期から誰かが欠けていないかクラスの連中を見渡しても誰も欠けていなくて、 
あの花は見間違いだったのかな?と思うようになった。 
花の一件でY子と話す機会があったせいか、帰り際にY子から遊ぼうと誘ってくれて一緒に彼女の自宅へ行った。 
彼女の自宅は小さな一軒家。家の中は誰もいなくて、まるで時が止まったかのように暗く静まり返っていて、 
2人だけでテレビを見たりゲームしたり子供ながらの楽しい時間を過ごした。 
女の子と上手く会話すら出来ない僕だったのだが、Y子とはなぜか気が合う感じがして、 
放課後は、次の日も次の日も連日、彼女の家で遊ぶ日々が続いた。 
そんなあるときY子が急に泣き出して、もうすぐ会えなくなるんだという。

 
788 : 本当にあった怖い名無し[] 投稿日:2012/01/21(土) 09:59:16.62 ID:5efLHkoC0 [2/2回(PC)]
Y子の思い出2 

「引っ越すの?」と聞くと、しばらく考えて「うん」と消え去りそうな声で頷いてから 
「これ、私だと思って大事にしてね」と花の形をした香りのいい消しゴムをくれた。 
そして翌月、彼女は学校に来なくなった。 
その日、運動会の模擬練習で器械体操をやっていた時に運動靴のヒモがぷっつりと切れた。 
次の日も次の日もY子は学校に来なかった。 
僕は彼女の家に行ってみることにした。 
彼女の家は鍵がかかっていて誰もいない様子。「ごめんください」と何度も何度もしつこく覗いている僕に、 
隣近所のおばさんが「そこはもう今は誰も住んでないよ」と話しかけてきた。 
やっぱりもう引っ越してしまったのかなと思う僕に、おばさんが言うには 
三人家族で、夏休み中に事故にあって両親ともにY子も亡くなったのだそうだ・・・ 
そんなはずはない!?気が動転して僕は何が何だか分からなくなった。 

彼女が学校へ来なくなって運動靴のヒモがぷっつりと切れたあの日がちょうど事故から49日だったのである。 
でも僕の手には、Y子に貰ったあの消しゴムがちゃんとある。 
あのときY子は「ありがとう」と、さびしそうに僕に言った。 
大人になった今も、引き出しにしまい込んだ、あの消しゴムを取り出して、 
もう薄くなりかけている香を嗅ぐたびに彼女のことを思い出している。