120 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2011/07/19(火) 22:28:20.12 ID:BbnkMxRy0 [15/29回(PC)]
102です 

そして後続のAはというとヘッドライトが消えて突然前が真っ暗になった事から 
最初は自分が転倒したのかと思ったらしい。 

ハンドルに衝撃を感じてTが消えたのがほぼ同時だったからだ。 
何とかパニックブレーキでフロントタイアがロックする寸前で停車に成功したので 
もらいゴケをせずに済んだと笑って話していたが、消えたヘッドライトを懐中電灯で 
確認したAの表情はにわかに硬くなった。 
Tが巻き上げた飛び石でヘッドライトが割れたと思っていたAだったが、ヘッドライトの 
カバー自体には異常がないのに中の電球だけが粉々に砕けていたからだ。 

走行中の振動でソケットが緩み、電球が中で踊ったために割れたのだろうとAは結論づけたが、 
これまた不可解なアクシデントに首を捻っていた。


121 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2011/07/19(火) 22:32:33.15 ID:BbnkMxRy0 [16/29回(PC)]
102です 

3台中2台のバイクのヘッドライトが切れた状態でこのまま走るのはさらに 
危険が増すため俺たちはここら辺でテントを設営できる場所を探して 
そこに泊まろうという事になった。 

この場合で一番戦闘能力が高いのはTだがヘッドライトが壊れていて自走できないし、 
俺のバイクを貸しても良かったが転倒したばかりで無理はさせられない。 

同様にAのバイクもヘッドライトが点かないため自走はできない。 
よって斥候は必然的に一番未熟な俺が行く事になった。 
腕に自信がないためもうすっかり暗くなった夕闇の単独林道走行に不安を 
感じずにはいられない。それにこの林道はただでさえ違和感を感じているのも 
その不安に拍車をかけていた。



122 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2011/07/19(火) 22:41:35.75 ID:BbnkMxRy0 [17/29回(PC)]
102です。 

突然植性の違うエリアというだけでなく、何とも表現できない違和感。 
沢の音は林道の入り口と比べるとやや大きくなった印象を受けるが 
まだ滝は姿を見せない。 

相変わらず辺りは妙に霞むような雰囲気…そんな中俺は一人テントを設営できる 
スペースを求めて荷物を二人に預けてバイクで走り出した。 

この後俺はこの二人とはまた違う現象に見舞われる事となる。 
 


127 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2011/07/19(火) 22:46:30.84 ID:BbnkMxRy0 [18/29回(PC)]
102です 

都合の良い場所に出る事ができたら良いのだが、あまり遠くなる様なら諦めて 
戻り、転倒現場で気分が悪いがテントを張ろうと思って出発したが、コーナーを 
3つ4つ曲がったところで突然周囲の山肌が迫ってきたかと思うと林道はそこで 
途絶えており、木々が開けた広場の様な場所に出る事ができた。 

当初の予想通り林道は突き当たりで袋小路になっているが、そのドンつきが 
5メートル程の落差がある小さな滝になっており、小さな滝つぼといったら大げさだが 
水溜りのようになっている所がある。 

その滝つぼの脇に過去は鮮やかな朱色で彩られていたのであろう小さな祠のような 
木製の建立物があり、滝つぼを放射状に囲む様に周囲が約15メートルほどの広場が 
広がっていた。



128 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2011/07/19(火) 22:48:16.17 ID:BbnkMxRy0 [19/29回(PC)]
102です 

水辺だというのに周囲の広場は固く締まった土と草で覆われている事もあり、 
そこはまるで昔話に出てくる様な奇跡のような場所だった。 

流れ出た水は小さな短い沢を作り、林道の脇に流れ落ちているがその先の水面 
は見えない。 
ひょっとすると岩の間に流れ込み伏水流となってメインの林道の辺りまで 
流れているのではと想像もできた。 
こんなにすばらしい場所が開けているのになぜ地図に載っていなかったのだろうと 
疑問に思ったりもしたが、おそらくは地図の読み間違いだろうとそのときは納得した。 



129 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2011/07/19(火) 22:50:09.33 ID:BbnkMxRy0 [20/29回(PC)]
102です 

ヘルメット越しに名前もわからない秋の虫たちが短い生を盛大に謳歌している。 
格好のテント設営地が見つかった事で俺は気分がよくなり、さらに 
木々の植性の違いもこの水流が関係しているのではないかと思えてきた事もあって、 
先ほどから感じる違和感や不安もやや和らいでいだ。 

これは早速戻って二人に教えてやらねばと思い、広場の出口である今来た林道の 
方向に車体を方向転換してアクセルを開けようとした。 

ヘッドライトが映し出した周囲から切り取られた景色の中、来たときには 
気づかなかったが鮮やかな朱色に塗り上げられた鳥居が居立しているのに 
初めて気がついた。 
あれっ、あんなものがあったっけな?と思ったその時だった。