817 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2011/07/13(水) 19:13:17.96 ID:S1kRq45M0 [6/23回(PC)]
>>815の続き
再びBがふざけて懐中電灯を消した瞬間、光源はBの持つ懐中電灯しかないのに壕の奥に淡い光が見えたのだ。
暗闇の中での光源ほど目立つ物はない。俺を含めてその場にいる全員がその光に気付き、そして誰ひとりとして声を上げるような奴はいなかった。
後から聞いた話では、Aは外への亀裂があるのかとぼんやり考えていたらしく、Bについてはビビって腰を抜かしていたらしい。
異変は続く。
初めは針の先程の光だった謎の光源は、チラチラと揺れるような動きを見せると、
徐々にその大きさを変えて行った。針の先から米粒のような大きさに、さらに天道虫、ピンポン玉、野球ボール、そしてその光が子犬位の大きさになった時、俺達は初めてやばい事になっていることに気付いた。
――あの光は近づいてきている
あの光がどういった物かは知らない。
ただ、とても怖かったのを覚えている。
俺達は一瞬でパニックになった。我先に出口に向かおうとするが、隣の友人の顔すら見えない暗闇に加えて、足元が滑るせいでまともに先に進めない。
818 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2011/07/13(水) 19:16:51.73 ID:S1kRq45M0 [7/23回(PC)]
>>817の続き
なおも、謎の光は俺達に近づいてくる。先ほどまで子犬程度の大きさだった光はいまや、ドッヂボール程の大きさにまで成長していた。
「うわぁああぁぁぁあああああああ!!」
防空壕の中に響き渡る俺達の絶叫。
手当たり次第に、持っていた木の枝や落ちていた石を光に向けて投げつける。
そのいくつかは確実に当たっているはずなのに、それらが物に当たるような手ごたえは無かった。
それでも、何度も躓き、膝をすりむきながら出口までたどり着いた俺達は、一目散に山の麓まで駆け下りた。
俺「何だ、何だよあれ!!?」
A「分んねーよ!! それよりBとCは!?」
Aの声に振り返ると、その場には俺とAしかいなかった。
B・Cの自転車はまだ残っている事から考えても、二人はまだあの防空壕に残されてしまっているらしい。
額から冷や汗が流れ落ちる。
俺「ど、どうすんだよ! あそこにまた戻るのか!? 俺はもう嫌だぞ!!」
A「俺だって嫌だよ!! でも、仕方ないだろ、あいつら二人置いとけねーよ!!」
走りだすA。俺は笑う膝を抑えて、Aの背中を追いかけた。
819 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2011/07/13(水) 19:20:01.84 ID:S1kRq45M0 [8/23回(PC)]
>>818の続き
Bはすぐに見つかった。樹の下の防空壕の入り口で、懐中電灯を持ったまま気絶していたのだ。
軽く失禁していたようだが、膝や手のひらの傷以外目立った外傷はないように見えた。
AはBを俺に任せると言うと、Bの手から懐中電灯を奪い、一人防空壕の中に消えて行った。
どのくらい時間が経っただろうか。実際には5分~10分程度だと思うが、一人待たされた俺が心細さと恐怖から半泣きになりかけていた頃に、Aが防空壕の中から慌てた様子で飛び出して来た。
A「Cがいない!!」
俺「何で!?」
A「分らん! すれ違いになったのかもしらん。取りあえずBを運ぼう」
Bの腕を俺達の肩に回して、山を下る。
二人掛かりとはいえ、完全に気絶してしまっているBを抱えながら山を下るのはとても辛かった。
Bが目を覚ましたのはちょうど山を下りきり、自転車置き場にたどりついた時だった。
「ひぃ!!」と口の端を震わせて辺りを見渡したBは、そこにAと俺がいることに気付くと安堵して崩れ落ちた。
821 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2011/07/13(水) 19:22:37.05 ID:S1kRq45M0 [9/23回(PC)]
>>819の続き
A「おい、B大丈夫か?」
B「…………」
俺「怪我、痛くない?」
B「……首が」
A「首が痛いのか?」
Bは相当憔悴しているようで、まともに答えることは出来なかった。
ただ、しきりに首を撫でていたのが印象的だった。
要領を得ないBから視線を外し、ふと俺達の自転車を見ると、Cの自転車が無くなっていた。
俺「なぁ、Cの自転車」
A「なんだよ、先に帰ったのか」
俺「くそ、あいつ。俺怖いの我慢して残ったのに」
とりあえず、Bをこのまま放っておくことは出来ないし、Cも無事だという事が分った俺達は、Bを支えるようにしてそれぞれの自宅へと戻った。
825 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2011/07/13(水) 19:25:35.81 ID:S1kRq45M0 [11/23回(PC)]
>>821の続き
事件が起きたのはこの日から丁度三日後、防空壕に行ったあの日のように蒸し暑い土曜の昼のことだった。
その日、俺はちょうど家族との買い物で朝から隣町のジャスコに行っていた。誕生日が近いこともあって、プレゼントを買ってもらう事になっていたのだ。
新作のゲームを買ってもらい、回転寿司を食べて、俺はとても幸せな気分に浸っていた。
その帰り道、あの山の上空にヘリコプターが何台も飛んでいるのを目撃した。
何度も言うが、小さな町だ。何もないのにヘリコプターがあんなに集まるはずがない。
俺の嫌な予感は最悪の形で的中することとなる。
あの日以来、学校を休んでいたBとC。
Aと俺は、あんなことがあったのだから心配だけど、仕方がないだろうとそれほど気にしてはいなかった。
家に帰り着いたとたんに、鳴り響く電話の着信音。
慌てて出るとAだった。
A「やっと出た! おい、ヤバい事になった!!」
俺「は? どうしたんだよ、ヘリコプターが沢山飛んでるのは見たけど、何か事件でも起きたのか?」
A「Bが刺された!!」
俺「…………え?」
A「俺もさっき父さんから聞いたんだ! あの公園でBが誰かに刺されたんだってよ!! なぁ、Dどうしよう、Bが死ぬかもしれん!!!!」
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