536 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2011/06/26(日) 15:41:13.56 ID:zj0m4cU60 [1/1回(PC)]
もう10年以上前に、悪友たちとキャンプに行ったことがあったんだ。山の中に細い県道が一本通ってるきりの寂しい場所でさ。
川原に沿って、テント4基ぐらいが辛うじて設置できるキャンプ場。一応管理人もいるし、煮炊きもできる。
6人で行った俺たちは、2グループに分かれてテントを設営したんだ。他には誰も来なかった。
管理人も5時には帰っちまったしね。
目の前の川は水量もあるし、何よりものすごく水がきれいだった。
すぐ前が深い森でさ、街頭なんかないから、火の光量の届かない部分は真っ暗だった。
メシ食った後に、風呂代わりに川に入りたいとか言い出したヤツがいて、何人かがついていったんだ。
俺はちょっと重い空気を感じてたんで、あんまり川には近づかないようにしてた。
同じような感覚を持つ友達も、一緒に火のそばに残った。
「なんか…女に見られてる気がしない?」
そいつが苦笑いしながら聞いてくるんで、
「やめろ、馬鹿」
って俺も返したけど、頭の中には、川を流れてくる長い髪の毛のイメージがずっと消えなかった。
しばらくして、水浴びの連中が戻ったんだけど、みんなが唇を真っ青にしている。
「寒い」
って火に当たり来るもんだから、
「馬鹿だろ、お前ら」
って友達と笑ってやったら、
「だってさあ、上がろうとすると、誰かが『まだ待ってよう』って言うんだもん。そいつだけ残してくるのも可哀想じゃねえ?」
って文句を垂れる。
確認してみたけど、引きとめたヤツなんていなかったよ。
友達が、
「俺さ、死んだら、こういうとこに還ってきたい。自然って魂が長生きしそうだよな」
ってわかるようなわからないようなことを言った。
だけどさ、『長生きした魂』が、生きてる人間を、『まだ待ってよう』って引き止めるんなら、
早く生まれ変わって、生身として他人と関わったほうがいいんじゃないかな。
537 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2011/06/26(日) 16:03:01.40 ID:GeEDzGhv0 [1/1回(PC)]
>>536
まあ何だな。悪友の中に実は女の漢(男の娘の逆)がひとり居たんだろう。みんな知らないだけで。
そいつが(裸になって川に入っても暗くてバレそうにないから、女だということを)「まあ黙ってよう」
と独り言でつぶやいたのをみんな聞き間違えたんだな。
ともあれお疲れ様です。雰囲気があって、読んでよかった。
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