550 : 話し手[] 投稿日:2011/05/15(日) 04:40:54.76 ID:Assd7la10 [4/6回(PC)]
部屋に通されると、そこはあまり広くない和室で、部屋の真ん中に布団が敷かれて 
そこに中学生くらいの女の子が寝ている状況だった。なんか奇妙すぎて居心地 
悪かったけど仕事だしな、ということで早速女の子に挨拶することに 

「こんにちは、きょう話し相手のバイトできました○○と言います」 
まぁ、返事は無いわけだ。そこは前情報どおりなので気にせずに、とにかく 
色々はなしかけることにした。 

そして2時間くらい独り言を続けているうちに、オレは妙なことに気がついた。 
この子の母親らしき人から娘は一人、と伺っていたのに、なぜか学習机が二つ。 
そこにかかるランドセルも二つ。 
話がネタ切れになりつつあったこともあり、気になったオレはそれをネタに話しかけてみた 

「もしかして姉妹とか兄弟とかいるの?オレは一人っ子なのでうらやましいな」 

その瞬間、女の子のおなかの辺り、掛け布団の中で何かがはねるように動いた。


553 : 話し手[] 投稿日:2011/05/15(日) 04:54:17.72 ID:Assd7la10 [5/6回(PC)]
いままで人形相手にしてる気分だったオレは、いきなりの反応に驚いてしまい 
そのまま女の子の顔を凝視してしまった。しかし女の子は無表情、天井を見つめるだけ。 
ただ、掛け布団のおなかの辺りで何かがもぞもぞと動いているのは見て取れた。 

掛け布団の中がきになって、ちょっと覗いてみたくて、誰もいない不思議な雰囲気が 
さらにその気持ちを加速させて、掛け布団をそっとはがそうと思ったけれど 
その土壇場で、やはり痴漢騒ぎでも起こされたらマズイと思いとどまった。 
その後も蠢く布団が気になりつつも独り言を続けて、いつのまにかバイト契約時間も 
終わり間近に。 

「それじゃ、今日はもう帰りますね。また機会があればお話しに来ます」 
と返事も期待せずに声を掛けたんだ。実際もう帰りたかったし二度と来る気もなかった。 
立ち上がろうとした 

「なかを みなかった おまえは もういらん」 

それまで表情一つ変えなかった女の子が、こちらを見つめながらそう言い放った。


 
557 : 話し手[] 投稿日:2011/05/15(日) 05:03:42.78 ID:Assd7la10 [6/6回(PC)]
そのときの女の子の目が不気味で、もうそこにいたくないという気持ちが強くて 
あとは、バイト代を速攻でもらって帰ることに。 
奥さんらしき人からバイト代の入った封筒を受け取るときに 

「すいませんね、あの娘があまり気に入らなかったみたいで、継続は無しで」 

と言われたんだが、俺もすっかり続ける気はうせていたので、そのままバイト代を 
受け取って帰ることに。駅まで送ると言われたんだが、ソレすらも嫌な気がして 
タクシーを呼んでもらい、逃げるように家に帰った。 

その後、その家がバイトを募集している記事を見たことはなかったし、そこに 
近づこうと思ったことも無い。ただ唯一心残りだったのは、あの女の子の布団の下に 
何があったのか、ソレをもし見ていたらどうなっていたのか。。