186 : 本当にあった怖い名無し[] 投稿日:2011/04/27(水) 22:44:29.04 ID:VuRaxvaEO [4/6回(携帯)]
>>184 
出した荷物も積み終わる頃には日が高くまできており、一行はyさん宅で昼を取るとのこと。 
「nくんの分もあるから安心しぃな」 
私の顔色をうかがってくれたのか優しい言葉にいやしくも同行することにした。 


軽トラの荷台に乗り込み、ガタガタの山道を先ほどのkさんと揺られていた。 

「nなぁ・・あれはまた後でゆっくり話しをばするから待ちよ・・・ 
とりあえずあいつらとも相談せないかんからのぉ」 
と目配せをした。 
視線の先には先頭を走るyさんや親戚の人。 

ふるさとと言えど知らない土地で見知らぬ親戚を名乗る人々、本当に親戚か? 

(ここはなんてヒナミ○ワか・・・) 
そう思った、本当に思った。 



そんなくだらない勘ぐりをしていたら早くもyさん宅に到着。 

荷降ろしは後回しにしようと言うことで、冷たい麦茶とひやむぎをいただいた。 

耳をつんざく蝉の声をBGMに縁側でへたり込んでいると、kさんがスイカを持ってこちらにきた。 
「食いなぁ・・・」 
礼も早々によく冷えたスイカに舌鼓を打つ。 


スイカのタネをマシンガンのように飛ばしながらkさんがおもむろに語りはじめた・・・・ 


193 : 本当にあった怖い名無し[] 投稿日:2011/04/27(水) 23:31:35.66 ID:VuRaxvaEO [5/6回(携帯)]
 
>>186 
「あれはなぁ・・・カルテよ、カルテ」 
「は?・・え?」 
眼前の景色や人からは不釣り合いな単語に困惑した。 
「いやぁ、おまん本当になんにも聞いとらんのか!」 
「はい・・」 
なんだか情けないような不甲斐ないような。 
いやしかし、合点がいかない。字や書物の痛みを見るに相当古いのは違いない。その時代にカルテ? 
私は素直にその疑問をぶつけた。kさんの方言まじりの言葉を要約するとこうだった。 

今から100年くらい前、この家は名家だったらしく、医院を営んでいたそうだ。 
その医院の名前は○○院と言ってこの辺り一帯の地名にもなっていた。 
その医院の患者の名簿や記録をしていた。それがあの書物なんだそうだ。 
にしても多すぎやしませんか? 
訊けば書物はそれだけではなく、中には研究書のようなものもあり、 
医院に関係しないもっともっと古いものもあるそうだ。それこそ数百年前のもあるとぞ言っていた。 

私は流れに乗じて気になっていた例の因習について訊いた。あれは事実なのか?きっかけはなんなのか? 
「・・・んぅ・・・・・」 

背中に視線を感じていた。誰とかでなく。今この会話に聞き耳を立て、様子を見守るような視線。 
kさんはこの視線に気付いているだろう。この質問にこの状態でどんな反応をするのか。 

沈黙のあいだに一瞬だけ苦虫を噛んだような、泣きだしそうな、そんな顔をした。 
私はできれば信じたくなかった。 
先祖の因縁、怨恨、呪い、業、etc.. 
しかし、それはどうやら本当にあるのかもしれない。 

人は物事を鮮明に思い出そうとしてる時、一瞬だがその事柄に纏わる感情が表情となって現れる。 

また胃の辺りがぎゅうと締め付けられた・・・・・



223 : 本当にあった怖い名無し[] 投稿日:2011/04/28(木) 03:46:41.35 ID:BNWIq7oiO [1/9回(携帯)]

「皆よぉー、荷物ば降ろすどぉー」 

kさんと私との沈黙を破ったのはs叔父さんだった。 

s叔父さんの号令に「ぅおーい」とだらしない返事をしながら皆が軽トラの荷台に群がった。 
荷物をあれやない、これやないと言いながら仕分けして家に運んだり、別の車に積んだりしている。 
私は手持ち無沙汰が過ぎてs叔父さんに手伝えることはないか?と訊いた。 
「そうなぁ・・あ、そうそう!nくんはヒロとかんぬっさんとこ行ってきて! 
ヒロは下の川にいるからね」 

ヒロは私の従兄弟で、同年代ということもあり幼い頃から仲良しで今でもたまに連絡を取り合う仲。 
彼の所へ向かう道中、鬱々としたあの空気をどうにか振り払い、冷静に考えをまとめていた。 
信じるだとかは後回しにして、まずそれがあるんだとしっかり受け止めることが重要だと。 
具体的な話はまったく見えて来ないが、最悪な話を想定しておく。 
それを受け入れる態勢でないとあちらは話せないだろうし、 
私も堪えかねない話を聞くことになるかもしれない。 

(ああ・・・マジなんかな・・・・・・)