506 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2011/02/05(土) 03:02:45 ID:Y+67HZg+0 [11/14回(PC)]
救急車が来るまでの間、自分はどうしたらいいかわからず、 
ひたすら外をうろうろしていた。 
正直何をしていたかここだけはあまり覚えていない。 
しばらくして救急の人が来たけど、その状態を見てさすがに顔がこわばってた。 
何があったか聞かれ一応説明したのだが、俺もパニックになっていて支離滅裂だったな・・・ 
それでもなんとかわかってもらい、全員病院に移送できることになったが、 
事件性があるかもしれないから警察に連絡した方がいいと言われ、警察にも連絡した。 
警察が来るころにはA美もなんとか事情を話せる状態にはなってた。 
(救急隊員の人には病院に行くかと聞かれたが、大丈夫だと断わったらしい) 
とりあえず警察にも説明したが、事情が事情なので警察の方もどうしていいかわからないといった様子だった。 
ただ、警察はT達が車の中でドラッグでもやってたんじゃないかと疑っていたようだ。 
結局それらしいものは何もみつからなかったし、 
それ以外にも事件性を疑わせるようなものもなかったらしく、 
警察の方はとりあえずそれで何もなく終わった。 
でも問題は4人のその後だった。 

全員そのまま入院した。 
家族などから容態を聞いたのだが、 
医者の話では恐怖感で精神錯乱になったのではないかと思うが、 
それにしてもよくわからないと頼りない説明だったという。 
親などからは自分とA美に説明を求められたが、 
自分もA美もただあったことをそのまま話すしかなく、 
もちろんそれで親が納得できるわけではなかったが、 
自分達に聞いてももう仕方ないと思ったのか、しばらくするともう何も言って来なくなった。 
でも、4人が入院してからの事態は深刻だった。 

ああ、さすがに思い出して鬱になって来たな・・・ 
いままでの記憶ももちろん嫌だが、ここからが自分にとって一番鬱なんだよな・・・ 

 
508 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2011/02/05(土) 03:04:27 ID:Y+67HZg+0 [12/14回(PC)]
まずTが死んだ。自殺だった。 
入院してわずか2日後にいきなり部屋から飛び出し、 
階段を駆け上がって最上階の窓から飛び降り自殺したらしい。 
入院してからはおとなしくしてたので一般の病棟で様子を 
見てたらしいのだが、本当にいきなり叫び声をあげながら部屋を飛び出して、 
止める間もなかったという。 
そしてMも死んだ。これはいまでもよく死因がわからないらしい。 
やはり一般病棟でおとなしく入院してたのだが、 
入院して丁度一週間後にこちらもやはり突然何か奇声のような声を上げてベッドの上で暴れ出したかと思うと、 
急にぐったりとなり、そのまま亡くなったそうだ。 
R子は精神状態がひどく、その手の病院に移送されて入院したということまでは聞いたが、 
その後の事は全く知らない。 
そして、Y子だが、こちらは一番まともで、結局一週間入院しただけで退院できた。 
ただ、その後も精神が安定することがなく、精神科に通院はしているという。 
そして、大学も辞めてしまった。 
大便をもらしていたことはまったく記憶にないらしい。 
何らかのショックで失禁したのかもしれないが、その「何らか」が何なのかが結局わからない。 
一度だけ、A美とその時はいなかった他の仲間とでY子に会いにいったことがある。 
(他の連中には警察や親とか以上に何があったのかあれこれしつこく聞かれてうんざりした・・・)



510 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2011/02/05(土) 03:05:28 ID:Y+67HZg+0 [13/14回(PC)]
夏休みも終わり、11月になってからで、 
行っていいかどうか迷ったが、Y子が構わないとのことで会いに行った。 
Y子は比較的元気そうで、よく笑って話してくれた。 
あの時の話はもちろん出さなかったが、大して気にしてるようにも見えなかった。 
ただ、結局何があったのかだけは話さないらしい。 
両親が慎重に聞き出そうともしたが、泣いてパニックになったので 
もう聞こうとはしなかった、と。 
あの時何があったかを知っていて(比較的)まともなのはY子だけなのだが・・・ 
そのY子にはそれ以来会ってないのだが、とにかく生きていることだけは確かなようだ。 
A美とはまだ連絡を取り合っていて、結婚して子供もいる。 
でもあの時のことはいまだ思い出したくないらしく、 
以前電話で少しその話題になりそうになったときも 
「その話はやめて!」と強く断わられた。 
俺もその後は普通に就職して普通に結婚した。子供はまだ。 
いまは普通に生活しているが、あの時の事はもう誰にも話していない。 
不思議なもので直後はけっこういろんな人に話したりしてたのだが、 
時間が経つとなぜか話すのが苦痛となり、話さなくなった。 



511 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2011/02/05(土) 03:07:51 ID:Y+67HZg+0 [14/14回(PC)]
ただ、実はあの時かかってきた電話の内容は誰にも話してない。 
A美にも話すタイミングをなくしてしまった。 
ここで書くのが初めてとなる。 
あの機械のような不気味な声。 
「カエス」というのはやっぱり「お前らのところに帰して(返して)やる」 
ということだったのか? 
でも確かに帰っては来たけどさ・・・ 

最後に、最初にも言ったように、この出来事は自分にとっては教訓となっている。 
つまり、例えバカにされようが、屈辱であろうが、 
やはり危ない事や悪い事は断固として断わることが大切だという事。 
子供への説教みたいだが、もしあのときつまらないプライドにしがみついて 
一緒に行ってたら自分もどうなってたかわからない。 
「断わる力」という本が話題になったが、あれはホント。 
勇気を出して断わる決断がその後を左右することになる。 

ただ、そんな俺も事故で左足が膝下からなくなったんだけど。