827 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2010/12/29(水) 22:19:20 ID:lSN58yUS0 [1/4回(PC)]
(1/4) 
地味な話で、どこに書いていいのか迷ったので、ここに書かせて下さい。 
長文です。 

かなり前のことですが、私は当時高校生で、母と犬とで車で近場に買い物に出掛けていました。 
帰り道、犬が鳴き始めたので、少し散歩させようと車を止めました。 
ふと横を見ると、いかにも村のお社といった雰囲気の神社がありました。 
周りはごく普通の住宅街で、母はその辺りを犬を連れて歩いてくると言うので、 
私は神社を見てくることにしました。 

神社はこざっぱりとしていて、雰囲気も静かであたたかく、きれいに掃除もされていました 
社務所は無く、参拝客は私以外はいませんでした。 
二十段もないような石段を登ると、石段の一番上に小さな紙が落ちていました。 
なんだろうと思って拾ってみると、そこには印刷で短い祝詞が書かれていました。 
シンプルな短い祝詞で、覚えやすくて気に入ってしまい、私はその紙がとてもほしくなりました。 
落ちていたものだしいいかな…とも思ったのですが、持って帰るのは盗みのような気がして、 
紙はしばらく眺めて祝詞を覚えた後に、賽銭箱の近くに置いておきました。

 
828 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2010/12/29(水) 22:20:09 ID:lSN58yUS0 [2/4回(PC)]
(2/4) 
お参りを済ませ、私は神社の建物が見たくなり、社殿の横に回りました。 
拝殿と本殿の間は渡り廊下でつながれおり、その渡り廊下の横に行くと、本殿がよく見えました。 
人もおらずゆっくりと見ることが出来て、わあ、こんな風になってるのか、と私は喜んで眺めていました。 
そしてふと渡り廊下の向こう側を見た時、なぜか、その渡り廊下を横切って 
向こう側に行かねばならないような気がしたのです。 
自分でも意味が解らなかったのですが、ともかくこの渡り廊下の手すりをよじ登って越えて、 
渡り廊下を横切らねばならない、なんとしてもそうしなければならない、という思いに駆られたのです。 

しかし渡り廊下は神様の通り道のはず、横切るなんてまずいんじゃないのか。 
そんなことを考えながらも、私はいつの間にか手すりに手を掛けていました。 
妙に頭がぼーっとし、周りの音が聞こえなくなりました。 
ほら、ここには誰もいない、周りは杜だから外からも見えない、 
この渡りの手すりをよじ登れば真正面から本殿が見られる、 
なかなか見られるものじゃない、神様と同じ視点だぞ…と、 
何故か心の中で強く思いながら、私は手すりに足を掛けてよじ登り、渡り廊下に立っていました。