471 : 俺 ◆cLBpi8LhvQ [sage] 投稿日:2010/10/26(火) 18:52:45 ID:6aUnUOb+O [3/4回(携帯)]
修学旅行か何かの集合写真だ。学生服を着た少年が楽しそうに笑ってこちらを見ている。 
無邪気な笑みは本当に楽しげだ。集合写真なのだ、もしかしたら直前まで友達と何かの冗談でも飛ばしていたのかもしれない。 
しかし、少年は一人だけだ。 
集合写真特有のアングルとでも良いのだろうか。全員が横何列かに並んで、前を向くという状態。 
俺にはこの写真の元々の状態が容易に想像できた。なぜなら、彼だけが切り取られたみたいに一人ぽつんと、本当にぽつんと立っていたから。 
「なんだ、これ……」 
「凄いだろ?」 
凄まじい。映っているものよりも消えているものの方が多い心霊写真なんて、今まで見た事が無かった。 
俺は写真を矯めつ眇めつする。一体彼らには何が起こったのだろうと考える。 
集合写真に映っていない全ての人はその事故で死に、そして彼だけが事故から生き延びる。 
もしくは、どこかは分からないがこの写真を撮った場所はいわゆる良くない場所で、写真に唯一映った彼だけが難を逃れたか。 
そんな安易な想像を口にすると、 
「違うんだなぁ」 
案の定ニヤニヤ笑いで否定された。 

 
472 : 俺 ◆cLBpi8LhvQ [sage] 投稿日:2010/10/26(火) 18:53:41 ID:6aUnUOb+O [4/4回(携帯)]
「どちら側かが重要なんだ」 
Aはそう言って両手の人差し指を交わし、×の字を作る。 
「どちら側か。つまりは霊の側か人の側か。体が消えた写真という心霊写真としての一つの項目の中にも、二つの小項目がある訳だ。 
 それが、霊か人か」 
腹と腹を擦り合わせていたAの人差し指はぐにゃりと曲がり、フックのような形となって絡み合う。 
「霊が映って見えなくなるのか、それとも人が消えて見えなくなるのか。どちらの視点になるかで変わる。 
 お前、映ってない方に何かが起きたと考えたろ? ……違うんだなあ。何かが起きたのは映っているやつの方だ」 
Aは俺の手からひらりと写真を奪い取った。 
「これは霊がどうこうしたものじゃない。これは一人だけ写真に映った彼が示したヴィジョンだ。 
 自分以外が存在しない。解釈は二通り。自分以外が自分の前から消えるか、それとも」 
Aは黙って俺を見た。相変わらず焦点の合わない、ぼうっとしたような瞳。 
「……どちらにしろ、意味するものは同じだ。一人になる。友達に会えなくなる」 
それはつまり、写真に映った彼の死を意味している。Aは写真に視線を落とし、ややあってぽつりと言った。 
「霊感が強かったんだろうな」 
私たちみたいにさ。 
俺は何も言えず、黙り込んだ。 
  
  
 写真Ⅱ、了。