421 : 俺 ◆cLBpi8LhvQ [sage] 投稿日:2010/10/25(月) 13:17:17 ID:nN00/r9EO [5/7回(携帯)]
下手をしたら『その人』はもう死んでいるかもと考えたが、次の瞬間にはそれは無いと思い直した。 
『その人』が死んでいたら、この程度で済む訳がない。 
俺の言葉に被写体の彼はいや、でも……などと泣きそうな顔で言うだけだった。 
「じゃあ知らねえよ」 
吐き捨てて俺はBを促し立ち上がった。 
もうこの場に居たく無い。彼の左足に憑いている崩れたそれを、視界に入れたく無い。 
「無理です、勘弁して下さい」 
被写体の彼が泣きそうな顔で言った。 
「だから」 
「無理ですよ! 何とかして下さいよ!」 
俺が物を言う前にBがキレた。 
殴りかかったと一瞬勘違いする程の剣幕で被写体の彼の胸ぐらを掴み上げ、無理矢理立ち上がらせる。 
「ガキかお前は! 自分でやった事だろうが!」 
耳が痛くなるくらいの大渇。Bは突き放すように被写体の彼の胸ぐらから手を外すと大股で部屋を出ていく。 
被写体の彼は大声を挙げて泣き始める。俺は何かを言おうとしたが、 
「なんで俺が」 
という嗚咽混じりの言葉を聞いて、諦めた。彼に言う言葉は、何も無い。 
もう立ち去ろうと踵を返した俺は、部屋を出る前にもう一度だけそれに目を遣る。 
左耳から、かりかり、と二度音がした。

 
422 : 俺 ◆cLBpi8LhvQ [sage] 投稿日:2010/10/25(月) 13:20:21 ID:nN00/r9EO [6/7回(携帯)]
数日後のジム上がりにBが小さな声であの事に触れた。触れたと言っても、一言だけだが。 
それまでは俺達の間で、あの事に関する話は全く出なかった。 
「すいませんでした」 
あの話について、Bが言った言葉はこれが最後だった。 
「気にすんな」 
俺はそう言って、コーラを飲んだ。ビールが飲みたいな、と思った。 
  
被写体の彼がどうなったかは、あれから数年経った今でも知らない。



423 : 俺 ◆cLBpi8LhvQ [sage] 投稿日:2010/10/25(月) 13:41:26 ID:nN00/r9EO [7/7回(携帯)]
書き忘れてたw 

 写真Ⅰ、了。 

  
短くまとめるつもりが結局この長さに……なぜだ