732 : 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ [sage] 投稿日:2010/11/07(日) 16:32:44 ID:+RWlXtGj0 [2/3回(PC)]
友人の話。 

彼の家は町の外れにあり、すぐ裏手からは深い山が始まっている。 
立地のことで別に不満はないのだが、ただ玄関からよく物が失くなることがあって、 
それが困るのだという。 
どうしてだか、失くなるのは決まって運動靴。それも右足の分片方だけ。 

「犬は靴が好きだっていうから。 
 山から野良犬でも下りてきて、持って行くのかとでも思ってたんだけど。 
 でも我が家も犬飼ってるし、そんなのが玄関まで来たら吠える筈なんだけどなぁ」 

そんなある夜、犬の散歩で山道を歩いていると、奇妙な物が前を横切った。 
スニーカーがピョンピョンと、まるで小動物がするように飛び跳ねていた。 
見覚えがある。間違いなく彼の家から失くなった分だ。 
唖然とする彼を尻目に、スニーカーは繁みの中へと消える。 
犬は別に何の反応も示さず、退屈そうに後ろ足で首を掻いていた。 

・・・害あるモノじゃなかったようだ。うちの犬が惚けてなければだけど。 

「それでさ思ったんだけど、山の神様って一本足だって言うじゃないか。 
 うちから度々靴を盗んでいるのって、やっぱ神様なのかな?」 
真面目な顔でそんなことを聞かれても困ってしまう。 

「過去のデータからすると、どうやら神様、ナイキがいたくお気に入りのようだよ」 
重大な秘密を打ち明けるような調子で、彼はそっと囁いた。