222 : カイト ◆MbiMEa9Ics [] 投稿日:2010/08/21(土) 01:47:44 ID:0zcmrwu1O [3/4回(携帯)]
明かりなどある筈もなく、小さな部屋は真っ暗になった 
焦って部屋に設置されている無線に呼び掛けるB 
無線はあるが、滅多に外に通じないのを知っている俺はもう諦めていた 
監視カメラもあるが、真っ暗ではわからないだろう 
「一度出よう」 
そういって手探りでカードを差し込む場所を探す 
狭い部屋だから、数歩でたどり着き壁にカードをさす 
「無理……です」 
すぐ近くから、Bの声がした 
泣きそうな声で、ガタガタと棚を揺らす音までする 
「カードでも落としたか?」 
「誰かに引っ張られて……」 
歩き寄りながら、俺じゃなくて女はBにちょっかいを出してるのかと思った 
「B、まだ引っ張られてるか?」 
「足」 
もう単語しか言わない辺りに、あれだけ強気だったBの怖がり具合がわかる 
ぺたぺたと触りたかないBの身体に触って、腕を全力で引っ張った途端、外側からぴーっと扉が開く音が聞こえた 
「大丈夫かっ!」 
懐中電灯を持った部長と、Aの姿が天使に見えた 
同時にBを振り返ると、足からさっと暗闇へと手が引っ込むのが見えた 
「割れてるな。怪我はないか?」 
天井に懐中電灯を向けながら言う部長に、割れてましたかとしか言えなかった 
割れた音など聞こえなかった 
「無線でお前が閉じ込められたから、早く来てくれというから来たのにただの電球切れじゃないか」 
と部長は呆れ顔だったが、俺とBはキョトンとするしかない 
俺は無線には触れてないし、そんな事を一言も言ってない 

 
223 : カイト ◆MbiMEa9Ics [] 投稿日:2010/08/21(土) 01:48:42 ID:0zcmrwu1O [4/4回(携帯)]
皆で足が痛いというBを担ぎ保管庫を出る 
空気を吸いに外に出るとAがついてきた 
Bは足を脱臼していたらしく、医務室から病院行きになっていた 
「すみません、本当にすみません」 
ひたすら謝るAの姿になんとなく、こいつはわかってたのかと思った 
「別にいいよ」 
と返して、コーヒーを飲む 
「無線から聞こえたの、別人の声でしたけど……部長は○○さんだって言い切ってて。命令口調だし、もっと年配に聞こえました」 
もっとは余計だなと思いながらも、当分は保管庫に入る時は塩と携帯とお守りを持って行こうと決意した