211 : おだに ◆XCWHqwntwSPj [] 投稿日:2010/08/21(土) 01:32:25 ID:LIlw5BKFO [4/8回(携帯)]
鍋丘が「あれ」と思ってると、今度は東側の壁一つ挟んだ部屋、つまり楽屋の辺りを歩いてる音が聞こえたんですよ。 
それで鍋丘、「ああ、そうか。誰かが忘れ物でもとりに来たんだな」と思ったんですが、よく考えてみるとおかしいんですよ。 
というのは、楽屋と舞台のある今まさに自分がいる部屋の間の壁というのは、かなり分厚くできてて隣の騒ぎ声とかならいざ知らず、 
足音なんて聞こえるわけがないんだ。そして彼は気付いたんですよねえ、「こいつ壁伝いにこの部屋の中を歩いてるんだ。」 
その瞬間、一気に暑くもないのに変な汗がぶわっと出てきて、膝がガタガタと震えだした。だって姿は見えないのに、確かに足音だけは聞こえるんだから。 
しかもそいつは、コッコッコッコッと足音をたてながら確実に壁伝いにこっちに向かって来てる。


212 : おだに ◆XCWHqwntwSPj [] 投稿日:2010/08/21(土) 01:34:54 ID:LIlw5BKFO [5/8回(携帯)]
鍋丘は腰が抜けそうになるのを必死に抑えながら、向いの扉まで歩いていった。 
それで2つあるうち、左側の扉に手をかけたんですが、これが開かないんだ。鍵はかかってないんですよ。かかってないのに開かない。 
それで力を振り絞ってもう一方の扉まで行ったんだけど、こっちも開かない。 
その瞬間、彼は足腰の力が抜けてその場にガクっと座り込んでしまった。立とうにも力が全く入らないんだ。 
そうこうしてる間に、足音はほぼ部屋を一周して、また南側の壁の端まで来てしまってた。 
そこで止まってくれと鍋丘は思ったんですがね、また足音がコッコッコッコッとこちらに向かって来た。 
もう鍋丘は立てないもんですからね、這って逃れようと思ったんですが、 
足に力が入らないもんだから、両腕の力だけで逃げるしかない。これがまた遅いんだ。 
その間もコッコッコッコッと足音が迫ってくる。 
「やめてくれ~、来ないでくれ~」と必死なんですが、もうすぐそこまで足音が迫って来た。



213 : おだに ◆XCWHqwntwSPj [] 投稿日:2010/08/21(土) 01:37:51 ID:LIlw5BKFO [6/8回(携帯)]
丁度そこで、ガタンと音がしてさっき開かなかった方の扉が開いたんですよ。 
それでひょこっと間宮さんが顔出して、「やっぱ俺も練習しようと思ってね。 
ところで喉乾いただろうからコーヒー買ってきたんだけど、どうしたの?」と声をかけてくれた。 
するとさっきまでの足音がピタッと止んだんですよ。鍋丘も全身に力が入るようになって立ち上がって、 
「間宮さん、とりあえずこの部屋出ましょう。」と言って、一緒に公民館前の自販機コーナーのベンチまで行ったんですよ。 
それで間宮さんに、一部始終を話した訳だ。すると間宮さんが「ああ、君もあったのか。」と言って、 
実はかつて同じ体験をしたということを話したんですよね。体験したのが今まで自分一人なもんで大丈夫だろうと思ったらしいんですが。 

以上です、長文駄文失礼しました