61 : 自治スレでローカルルール他を議論中[sage] 投稿日:2010/10/17(日) 15:42:33 ID:3ZAea4Li0 [2/3回(PC)]
海坊主 

 むかしむかし、ある夏の事です。 
 漁師(りょうし)たちが海で魚を取っていましたが、どうした事か、今日は思うように魚が取れません。 
「仕方ない、もっと沖へ行こう」 
「そうだな。これでは、かせぎにならん」 
 そこで船を沖へ移動させると、今度は面白いように魚が取れます。 
 そこでついつい、夢中で取っているうちに、すっかり日が暮れてしまいました。 
「さあ、今日は、もう帰るぞ」 
 そう言って漁師たちがアミをしまっていると、突然波の中から、坊主頭の様な物が、浮かび上がってきました。 
「でっ、出たー! 海坊主だー!」 
 漁師はみんな、ブルブルと震え上がりました。 
「なにをボヤボヤしている! はやく船をこいで、浜(はま)へ逃げるんじゃ!」 
 船頭の言葉に漁師は我に返ると、懸命に船をこぎ始めました。 
 しかし、海坊主も泳いで来て、船べり(→船の側面)に手をかけました。 
 そして、恐ろしい声で言います。 
「ひしゃく。ひしゃくをくれえー。ひしゃくをくれえー」 
「わかった、いまやる」

 
62 : 自治スレでローカルルール他を議論中[sage] 投稿日:2010/10/17(日) 15:43:35 ID:3ZAea4Li0 [3/3回(PC)]
 漁師の一人が、ひしゃくを渡そうとすると、船頭は、そのひしゃくの底を素早く打ち抜いて、船べりから、なるべく遠くへと投げました。 
「それ、今のうちに、全力でこぐんだ」 
 一方、海坊主は遠くへ投げられたひしゃくを追いかけていきましたが、そのひしゃくの底が抜けている事に気がつくと、 
「よくもだましたな! 待てぇー!」 
と、すごい勢いで船を追いかけてきました。 
 しかし船は間一髪のところで浜へ着くと、みんなが浜へと駆け上がったので、海から出ることが出来ない海坊主にはどうすることも出来ません。 
 海坊主は、しばらくうらめしそうに漁師たちを見ていましたが、やがてどこかへ行ってしまいました。 
「ああ、恐ろしかった。しかしどうして、ひしゃくの底を抜いて、遠くへ投げたんじゃ?」 
 漁師の一人が聞くと、船頭はこう答えました。 
「これからもある事だから、よ覚えておけよ。もしあの時、海坊主の言う通りに、底のついたひしゃくを渡してしまったら、海坊主はそのひしゃくで海の水を船にくみ入れて、最後には船を沈めてしまうんだ。 
かと言って、ひしゃくを渡さないと、海坊主は怒って船を壊してしまう。だから、底を抜いたひしゃくを渡すんじゃ」 
 それを聞いて、漁師たちはさらに震え上がりました。 

おしまい 



63 : 自治スレでローカルルール他を議論中[sage] 投稿日:2010/10/17(日) 17:24:43 ID:08AFmZ9a0 [1/1回(PC)]
それの船幽霊パターンが多いね。 
柄杓を1本渡しても、それが何本、何十本にもなって 
船幽霊の手に手に握られて、あっと言う間に海水を 
汲み入れられちゃうって話し。



64 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2010/10/17(日) 20:52:29 ID:tqsyIeGr0 [1/1回(PC)]
そっか、柄杓を渡す、てのが生者が亡者に同意するて暗喩か・・・