586 : 玉 ◆XptP8Mzm2g [sage] 投稿日:2010/08/16(月) 16:23:14 ID:6BJ3yQ280 [2/13回(PC)]
~オチャカナ~
もうかなり昔のことになるので、思い出しながら書いていきたいと思います。
この歳になってあらためてそのことを考えますと、経験した自分自身でも
とても現実と思えない内容なので、記憶だけでなくその後に見た悪夢などが
入り混じっているのでしょう。
正直に申しますと悪夢にうなされた記憶など全く無いのですが、
あれはそういうことだったのだと考えるようにしています。
587 : 玉 ◆XptP8Mzm2g [sage] 投稿日:2010/08/16(月) 16:27:06 ID:6BJ3yQ280 [3/13回(PC)]
あれは三十年くらい前、当時わたしは中学生で、まだ猟師を生業に
する人たちも若干残っていた頃の話です。
わたしの祖父には狩猟の趣味があり、愛犬2頭を連れてよく狩りに
行っていたものでした。
一匹は雪のように白く、もう一匹は墨のように黒い犬で、
犬達の名前は外見そのままシロとクロといいました。
祖父自慢の賢い犬達で、私ともすぐ仲が良くなったことを覚えています。
雪の無い季節にはわたしを連れ立って行くこともありました。
588 : 玉 ◆XptP8Mzm2g [sage] 投稿日:2010/08/16(月) 16:28:06 ID:6BJ3yQ280 [4/13回(PC)]
狩りへついて行くことに対して、両親は余り良い顔を
していなかったようですが、わたしにとっては楽しみのひとつでした。
体力的に無理をした覚えも無いので、わたしがいるときはそれほど
奥深くまで行かないようにしていたのだと思います。
誤射を避けるためでしょう、散弾は使わず、山に入る時には常に
自分の傍にいるようわたしに厳しく言い聞かせていました。
傍にいないときには決して発砲しなかったとも記憶しています。
589 : 玉 ◆XptP8Mzm2g [sage] 投稿日:2010/08/16(月) 16:29:11 ID:6BJ3yQ280 [5/13回(PC)]
その日は祖父にしては珍しく、夕刻になってもまだ一匹の獲物も
仕留めることが出来ずにいました。
帰る時間も近づき焦りが出てきたのか、そのときは「どうもおかしい……」とか
「どうなっているんだ」といったことをしきりにつぶやいていたと思います。
今思えば、祖父は長年の経験から山の様子などに、いつもと違う
なにか変化のようなものを感じ取っていたのかも知れません。
あれを見たのはそんな時でした。
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