308 : ◆7QPLwJZR/Ypf [sage] 投稿日:2010/07/04(日) 19:49:53 ID:lpNh7whZ0 [13/14回(PC)]
師匠にも後日、いつものファミレスで同じようなことを言われた。 
「もしかしたらSちゃん自身が、Aの思っている彼女とは少し違ったのかもしれないな。 
 何かのきっかけで彼女自身が"似たようなもの"と入れ替わったとしたら、 
 必然的にその後のAと彼女の運命というか、在りようが変わってしまうことになる。 
 Aの話を聞く限り、たぶん彼女は"人形"ではないとは思うんだが…」 
ここにも韓流ドラマの被害者がwwwwと思ったが、 
錯乱して"アレ"に突っ込んで迷惑かけた件もあるし、色々と助けてもらったので、 
あえて黙っておいて、勘定も大した額ではなかったが全て支払った。 

最近風の便りで、Sちゃんは良い仕事の引き合いがあったので、 
娘と遠くの街へ引っ越したと聞いた。 
回復したころに、病院に見舞いに行きたかったのだが、 
色々あって引き伸ばしにしている内に、彼女は退院してしまっていた。 
繁華街ですれ違ってから、結局一度も現実のSちゃんとは話すことは無かったわけだ。 
幸せでやっているのかは分からないが、、 
おかんの語った"男の子"が彼女を守っているという、 
部分が当たっていたらいいな、と思っている。

 
309 : ◆7QPLwJZR/Ypf [sage] 投稿日:2010/07/04(日) 19:51:31 ID:lpNh7whZ0 [14/14回(PC)]
そう言えば付き合っていた当時、一度だけ彼女が不思議なことを話したことがある。 
やることやった後、添い寝していた時だ。 
「ねぇ、昔話しよっか」 

「まだ、お父さんが生きていたころ、友達と神社で影踏みをしたの、 
 夕日が沈むころに、私が鬼の番になって、 
 友達を探していたんだけど、そのまま誰も見つからなかった。 
 神社からも出られなくなった。 
 私は半日ぐらい泣きながら暗闇を彷徨って、気が付いたら境内で倒れていたの」 

「外に出てみたら、夕日はまだ沈んでなくて、 
 わけが分からないまま独りで家に帰ったんだけど、 
 次の日に学校で訊いたら、友達は誰もその日は影踏みなんかしていないって言うのよ」 

「それから、私と外の世界が何だか噛み合わなくなったの。 
 どこに居たって、何をしたって虚しくて 
 取り繕うためにどれだけ必死で頑張っても、どうしても何か足りないの」 

「お父さんが死んだときも涙が出なかった。何度思い返してもどうしても涙が出なくって。 
 何でだろうって、ずっと考えてる」 

「貴方に出会ったことは運命だって思ってる。 
 でもね、何であの時告白したのかを、未だに思い出せなくて。 
 その時、そう在るべきことをしただけで…どこか私の気持ちじゃないような。 
 もしかして…これは私の人生じゃなくて、 
 別の誰かのものなのかも…意味わかんないよね。ごめん、もうやめる…」 

賢者モードだった俺は、「ふぅん…」とだけ返して 
ろくに意味も考えずに眠り込んでしまった。 
了。