108 名前:6 投稿日:2009/09/10(木) 21:31:48 fadACYG40 
看護師さんや助産婦さんに聞いてみようかとも思ったけど、 
頭おかしいんじゃないかと思われるような気もして、 
何となく聞けないまま退院の日になった。 
母が長男にいそいそとベビードレスを着せたり帰り支度をしている間、 
私は助産婦さんから検診の案内や家族計画の説明を受けて 
病室に帰りかけたとき、廊下の隅からおばあちゃんが手招きしていた。 
近寄っていくと、「あんたは次はもっと速いはずだから陣痛が来たらすぐに 
来るんだよ」と耳打ちして消えた。 
「ええ~、また嘘つかないとダメじゃん」と思わず言ったら、 
おばあちゃんはまたぱっと現れて、 
「H夫(先生の名前)もまだまだだからね」とため息をつき、 
「ばあちゃんがそう言ったからって言えばいい。かまわないからすぐ来な」 
と言ってくるっと背中を向けた・・・と思ったらまた振り返り、 
「ヤブってわけじゃないんだからね。どんないい医者にもどうにもできないことも 
 ある。ただH夫もまだまだ精進しなきゃならんってことさ」と言ってまた消えた。 
今度はもう呼んでも現れなかった。 

そっか、先生のおばあちゃんだったのかと何か納得して 
帰る前に挨拶に行ったときに全部話してみた。 
すると、先生は「参ったな・・・それ、私のばあさんでもないんだよ」と 
頭をかいて笑った。 
「父の代から居るらしいけど、父も心当たりがないと言ってる」と言った。 
先生も先代の先生もおばあちゃんを直接見たことはないらしいが、 
おばあちゃんの診断は1度も間違ったことがなかった。 
近年、医学は発達し、医療設備が整い、産婦の危険が少なくなるにつれて 
おばあちゃんが出現することは減ってきた。 
先代の先生の小さな産院だった頃は頻繁に現れたそうだ。 
先生は「すごく久しぶりに聞いたよ。まだ居てくれたんだな」と 
ちょっと嬉しそうに見えた。 
次回の出産時(いつなのかも分からなかったが)も早めに来ることを約束して 
私は長男と退院した。

 
109 名前:7 投稿日:2009/09/10(木) 21:33:39 fadACYG40 
Yちゃんが家に帰るまでの1ヶ月ほど、よくおばあちゃんの話題になった。 
私達は「座敷ばあちゃん」と呼んでいた。 
座敷わらしの居る家は栄えるというけど、H夫先生は評判が良かったし、 
小児科も一緒になってて産まれた後のケアもいいということもあって、 
個人病院にしては大きな病院で、確かにとても繁盛していた。 
昨今の小児科の赤字問題、小児科医不足から、その病院も小児科は 
無くなるかも・・・という噂を聞いた。 
そうなると、おばあちゃんの出番もまた増えるのかなあとふと思う。 

余談だけど、長男出産から2年後、次男が産まれた。 
先に破水して入院してたから、陣痛が始まったときはもう病室に居た。 
いきなり強烈な痛みからスタート、またもや陣痛室はスルーで10分で産まれた。 
陣痛と陣痛の合間のわずかなインターバル、分娩室の隅っこで 
にんまりしているおばあちゃんがチラッと見えた。 
「な?言った通りだろ?」というドヤ顔。 
けど、こちらは正に正念場、考える余裕もなく次男がとり上げられたときには 
もうおばあちゃんは居なくなっていた。 
それから2度とおばあちゃんに会うことはなかった。 

以上です。 
すごい長くなってしまってごめんなさい。 
文章力無いみたい( ;∀;)



587 : 579[sage] 投稿日:2010/12/03(金) 00:05:02 ID:L8rGmB5t0 [2/2回(PC)]
すいません、連投規制くらって間隔が空いてしまった。 
この婆ちゃん、本当に誰なんだろうなー。 
昔働いてた産婆さんとか?