278 : 悪意1/3[] 投稿日:2009/08/21(金) 23:49:48 ID:edz+SqwT0 [7/9回(PC)]
俺が税務署の職員だった頃の話。 

90年代の頃だが、田園調布の、ある家へ査察に入った。 
すると、玄関で奥さんが数珠をじゃらじゃらさせつつ、「悪霊退散、悪霊退散、悪霊退散。」 
とひたすら呟いている。この家がある神道系カルト新興宗教に帰依しているのは調査で知 
っていたが、さすがに面食らったし不愉快だった。税務署員には珍しく短気な同僚Aは、 
A「ずいぶんと奥さんは不機嫌ですね。」 
等と皮肉を言う。家の主人もふんっと鼻で笑い、人を食った様な事を言う。 
主人「家内が言うには、どうも本日来る客人が、災いを運ぶとの夢を見たらしくてね。」 

家には宗教関係か、禍々しいデザインの神棚があるだけで、他は普通のセレブの家である。 
調査を開始するが、脱税の証拠が、どこを探しても見つからない。家の主人は余裕しゃく 
しゃくで頭に来る。  
と思った矢先、Aがあっと声を上げた。そして、調査してない所が一つだけあると言った。 
A「神棚だ!」

 
280 : 悪意2/3[] 投稿日:2009/08/21(金) 23:50:31 ID:edz+SqwT0 [8/9回(PC)]
Aが神棚に手をかけ様とした途端、ひたすら「悪霊退散」を叫んでいた奥さんの顔が青ざ「地 
獄へ落ちる地獄へ落ちる。」と騒ぎ始めた。主人も打って変わって怒り出し、「やめろやめ 
ろ、呪われるぞ、死にたいのか」と叫び出す。 

俺達は、この慌てようを見てビンゴだと興奮した。Aが神棚を探ると、中から小さな箱が見 
つかった。証拠があったと色めき立つ中、怒鳴る奥さんと主人を余所目に箱を開けた。 

「うおっ。]とAが叫んだ。何と、中には女の髪の毛と爪、それから動物の干からびた目玉 
らしき物が大量に入っていたのだ。調査員達も余りの事にしーんとする。 

奥さんが目をおそろしく釣り上げた、憤怒の形相で呟いた。 
奥さん「だから言ったのだ。お前達、もう命はないかもしれないぞ。」 

Aはぶるぶる震へながら箱を閉めて、上棚へ戻した。



281 : 悪意3/3[] 投稿日:2009/08/21(金) 23:52:35 ID:edz+SqwT0 [9/9回(PC)]
上司に調査が失敗だった事を電話で連絡すると、上司から怒鳴り声が返ってきた。 
上司「馬鹿野郎、だからお前は詰めが甘いんだよ。まってろ、今から俺が行く。」 

しばらくして上司が来きた。上司は神棚にどすどすと直行して箱を平然と開け、箱に手を 
突っ込み探りだす。 
うえっ、よく手が突っ込めるなあ、と驚いていたら、上司がにやりと笑った。 
上司「見ろ、箱は二重底だ。」 
二重底の箱からは、脱税の証拠である裏帳簿が見つかった。主人と奥さんの顔が見る見る 
真っ青になる。 

上司は調査後に言った「真にに怖いのは霊や呪いじゃない。人間の欲望と悪意だよ。人間 
は金のためなら嘘も付くし演技だって平然とする。今回の調査を見ろ。神棚に隠す狡さ、 
“呪い”に対する人間の恐怖を利用した巧妙な手口、真に怖いのは人間の欲望と悪意だ。」 




それから、一年以内に、箱を触ったAが自殺し、上司が交通事故で死亡した。 

二人が死んだのは偶然か? 
本当に、真に怖いのは、人間の欲望と悪意だけなのだろうか…………