613 : モンシロチョウ[] 投稿日:2009/08/19(水) 00:14:39 ID:TMaUQnwz0 [1/7回(PC)]
大学生二年生の時だったかな。夜中、ざわざわ話し声が聞こえて、目をさま 
したら、黒い透き通った、人の影みたいのが、二つゆらゆらと揺れていたの。 
なんだこりゃ、と思って起き上がろうとしたが、金縛りっていうの?  
全然起き上がれない。 
「これの××(聞き取れず)をにえに。」 
「それなら×××だ。」 
「タツミの×××。」 
影は意味不明の事を話していた。影は近づいて俺の腹に触れるだが、その瞬 
間、猛烈な激痛が腹を襲った。手で内臓をかき混ぜられる様な鋭い味わった 
事が無い痛み。大声が出そうなほど痛いけれど、なぜか声が出ない。 

その時の俺は非常に冷静で、ああ、ここで俺は死ぬのだとか考えてた。 

すると突然影が激しく揺れたかと思うと、 
「まずい、八幡さんの×××が。」 
「もういかないと×××だ。」 
とか言って、消えた。 


614 : モンシロチョウ[] 投稿日:2009/08/19(水) 00:15:33 ID:TMaUQnwz0 [2/7回(PC)]
いつの間にか、部屋には、5、6歳の男の子がいた。男の子は近づいて来て俺の 
腹をさすってくれたんだが、その途端に激痛がすーと和らいだのね。男の子は、 
「もう大丈夫。しばらくほっとくと治るよ。」 
と言った。俺は、座敷わらし様が助けてくれたと思った。俺の実家(青森の十和田) 
には座敷わらし伝説が残ってんの。 

翌日、まだ少し痛かったから、病院言ったら、肝臓と腎臓が原因不明の炎症を 
起こしていると言われた。けれども、座敷わらしの言うとおり、一週間で治った。 

で、俺はどこかであの座敷わらしを見た事がある気がしたんだよね。なんだろう、 
って頭にひっかってたんだが、何ヵ月後かにふと家族の古いアルバムを見て解っ 
思い出した。 

実は俺には、六歳の時に亡くなった、四つ上の敏郎って兄貴がいたのね。座敷 
わらしはその俊郎兄ちゃんそっくり。俺は二歳だからまったく記憶に無し。 
アルバムでしか見たこと無かったから、顔も忘れてた。 

ああ、敏郎兄ちゃんが助けてくれたんだなあ、と俺は凄く納得した。 



615 : モンシロチョウ[] 投稿日:2009/08/19(水) 00:17:23 ID:TMaUQnwz0 [3/7回(PC)]
お盆に、墓参りしたら、墓に黄色いモンシロチョウが飛んでた。俺の田舎には 
モンシロチョウは白いけど、稀に黄色いモンシロチョウがいて、黄色いのは人 
の魂が宿ってるって言い伝えがある。 

なぜか俺はそれが敏郎兄ちゃんだとすぐに解った。 
モンシロチョウは帰り道に、家まで俺について来てくれた。 
「敏郎兄ちゃんありがとう。」 
と言うと、モンシロチョウは墓の方角に帰って行った。 

モンシロチョウは偶然だったのかも知れないが、俺は今でもあれは敏郎兄ちゃん 
だったと信じている。