383 : 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ [sage] 投稿日:2009/07/27(月) 20:24:02 ID:OOBbV2Yp0 [2/4回(PC)]

昔馴染の話。 

山麓にある実家へ帰っていた時のことだ。 

縁側に寝転がって映画雑誌を眺めていたところ、祖母がやって来た。 
古い映画特集のページを開いていたのだが、覗き込んだ祖母がこんなことを言う。 


「あぁコレ知ってるよ。ヤマガロって呼ばれてたの。 
 私がまだ小さな頃は、この辺りにもちょくちょく出ていたものよ。 
 身体が大きい癖に根が臆病みたいでね、逃げ出すのは決まってあっち側だったわ。 
 あ、でももう少し毛深かったし、首にもそんな釘なんて無かったかしら」 


祖母が指差したのは白黒の、フランケンシュタインのスチール写真だった。 


「そう言えば最近見ないねぇ。もう山の奥方で死んじゃったのかねぇ」 


それだけ言うと、祖母はサッサと離れていった。