657 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2009/04/20(月) 15:10:45 ID:JoQaT3TuO [1/1回(携帯)]

どこで見たのか忘れたけど、「エレベーターから出たら赤い世界だった」みたいな話を読んで、思い出したことがある。 


昔、自分はよく迷子になる子供だった。 
 
 
ずっと側について見ていても、本当に一瞬、まばたきする間にふっと消えてしまうらしい。 
自分ではよくわからないけれど、そんなときにはたいてい知らない場所にいた。 

妖精のいる花畑、おばあさんが一人で住んでいる大きな家、白い灯台やら細い路地裏やら。 

でも、しばらくすれば家に帰れるから怖くはなかった。 
大きくなってから、遠く離れた町で知らない人に


「××ちゃん?大きくなったねえ」


って言われたときは怖かったけど。 

小学生になったころには、これは普通のことじゃないんだとわかった。 
でも自分ではどうしようもなくて、あちこちに飛び続けてた。 


ある日、学校から帰るときにエレベーターから下りたら(自宅がマンションだった)、そこがその赤い世界だった。 
一面べったりした赤と黒。 

いつもとは違う光景にどきどきしたけど、すぐに帰れると思って赤い世界の自分の家に入った。 
そこにあいつがいた。 

走って逃げて、追い付かれてまた走って、気がついたらいつもの家だった。 
行ったことのない、子供の足では行けないくらい遠方の、祖母の知人の家に狂乱状態で飛び込んで保護されたらしい。 

それから、ふらっと消えてしまう癖は無くなった。というか全部忘れていた。 
友人に、あなたは鍵で扉で力だから私が封印うんぬん言われたときも、はいはい厨2乙で済ませてた。 


あの赤い世界にはあいつがいる。あいつは怖い。 

もうどこにも行きたくない。おばけより、幽霊より妖怪よりあいつが怖い。 

精神病だと思われてもいい。怖いものは怖い。 


ただ、赤い世界とあいつには気をつけて欲しい。 
踏み込んだらいけない。