340 : 奈々氏[] 投稿日:2009/07/09(木) 08:18:56 ID:lnftb4Gi0 [1/8回(PC)]
去年八月の不思議な話
福岡から宮崎にサーフィントリップへ俺含め三人で向かったんだ。福岡から熊
本の御船ってとこで九州自動車道(九州を縦に走る高速)降りて、そっから宮崎
に行く為山を越えながら走る。その途中にある道の駅(高千穂)での話。
その日は福岡出たのが夜中の12時くらいで道の駅に着いたのは四時くらい。
辺り一面山の中に休憩所があるんだけどさすがにど田舎だから作動してるのは
自販機と便所くらい。長い間運転してたから疲れてここで休もうと車の中で休
むことにした。
341 : 奈々氏[] 投稿日:2009/07/09(木) 08:39:46 ID:lnftb4Gi0 [2/8回(PC)]
山の夜ってのは空が藍色で山は黒に見えて、夏だからそこらじゅうで虫がない
てて非日常の風景が広がってるんだ。その時三人ともずっと車だったから体は
疲れてんだけどこの山越えればサーフィンやれるし気持ちだけ高ぶってて、体
を横にする感じで喋ってた。車はジャパレンで借りたレンタカーレガシィ。
普段軽しか運転してない俺にとっては最高に乗り心地がよかった。4時半ぐらい
に一人が眠りだした。音楽も消してエアコンも消した。もちろん車の中全てオ
フにして鍵はドアについてる細い小物入れに入れて、もう一人の友達とタバコ
吹かしながら思い出話に浸ってた。
エアコンも音楽も明かりもなくなって影だ
けが見える状態だ。外灯からは結構はなれてた。暗さも虫の鳴き声も倍増して
生暖かい風が吹く。
ピーピーピーピピピピピピピイッピピッピピッピッピイッピピピピピッピ
344 : 奈々氏[] 投稿日:2009/07/09(木) 08:59:40 ID:lnftb4Gi0 [5/8回(PC)]
本当にワケがわからなかった。レガシィのクラクションが鳴っている。シート
は倒していて誰もクラクション部分を触ってない。ピーと長い音から短い音ま
でなっている二人とも言葉を失ってた。クラクションが止んだ。
俺たち二人はとりあえず外に出た。故障かと思ったがレンタカーだし、車に関してはズブの
素人。恐怖よりも?の方が大きかった。一人は車内で寝てる。明かりのある所
へ向かおうと車に戻りエンジンをかけようとした。しかしかからない。二人は
呆然とした。ジャパレンのコールセンターに電話してきてもらう事になった。
しかし夜中の山深い場所。40分はかかるそうだ。10分くらい待った。
ピーピーピーピピピピピピピピピッピピッピッピピッピピピッピー
345 : 奈々氏[] 投稿日:2009/07/09(木) 09:22:43 ID:lnftb4Gi0 [6/8回(PC)]
また鳴っている。先ほどの音とはまた違う鳴り方。さすがに二人とも怖くな
った。どうしようもないとはこの事。まただと思い数分待ってたら止んだ。
鳴ってる時はえらく体が緊張していたのを覚えている。
エンジンをかけてみる。またかからない。辺りは真っ暗。さすがに怖い。数分後ハザードが付きだ
した。もちろん勝手にだ。最初はチッカチッカチッカだった。そしてまたそれ
も物凄い速さで点滅しだした。チチチチチチチチチ。怪現象とはこれの事だと
はっきり自覚した。止んだ後、寝ているやつを起こし事情を説明した。
明らか疑っている。その数分後クラクションとハザードが一緒に鳴り出した。消そう
としても消える気配は無い。二、三分鳴ってただろうか。三人とも外に出てジ
ャパレンの代理店が来るのを待った。しばらくして一台の車がこちらに来るの
がわかった。ジャパレンだ。わざわざこんな時間におこすなよと言わんばかり
のおじさん。事情を説明しておじさんにキーを渡した。
すると何ごともなかった様にエンジンをかける。ちょっと明るいところまで行って点検するからと外
灯の方へ向かった。どんなに説明したところでおじさんは信用する気配がない
。完全に疑っている。
347 : 奈々氏[] 投稿日:2009/07/09(木) 09:55:43 ID:lnftb4Gi0 [7/8回(PC)]
そりゃそうだ。怪現象疑ってるのはこっちだから。でもそんな事があったのは事実
。外灯のある明るい場所に着いた。
おじさんは自分の車を止めてこちらへやってきた。俺たちの車がちょうど外灯の真下でおじさんの車は少し離れている。おじさん
の顔もはっきりわかったけど、何処か様子がおかしい。言葉では説明しにくいが違
和感のある顔。少しねじれたような顔だった。でも普通に話してたからとくに問題
はなかった。俺たち三人は縁石に座り点検しているおじさんをみていた。
暗闇の中に外灯があって、そのしたでボンネット開けながら作業しているおじさん。一人が
気づいた「あの人の足元見て、影が無い」小さな声で俺にそう言った。車の影はは
っきりわかるのに、おじさんの影がどの角度から見ても無い。おじさんは淡々と作
業をこなしている。そういや一言もおじさんの口からジャパレンからとの言葉もな
かった。あのおじさんは一体何者かという思いでいっぱいになった。寝ていたもう
一人も事の重大さに気づいたようだ。
とにかくこの周辺からはやく出て目的地の小倉が浜へ向かおうと言っている。点検が終わっておじさんが近づいてきた。何も異 常無しとの事。異常な人間に異常なしと言われても信憑性に欠く。別れを告げてお
じさんの車が前を横切っていった。三人ともおじぎをしておじさんの顔を観た。
おじさんは薄気味悪い笑い顔を浮かべて走り去った。
山の夜は怖い。何が出てもおかしくない感じがする。次の日ジャパレンから電話の履歴があったので掛け直した
。履歴に残ってた時間は深夜4時50分頃。担当につながると昨夜の話になった。
内容は代理店が現地に向かったが誰も居なかったの事。あのおじさんは代理店の者
ではなかった。おまけにこの世の者でもなかったのかもしれない。
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