447 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[ ] : 投稿日:2003/06/07 21:57:00
怖くないけどすごいと思う。 
私達がまだ中学生だった頃の話。体育祭の応援旗を作るため、どのクラスも係の人が5、6人 
教室に残っていた。季節は秋の初め頃で、日がだんだんと短くなっていく時期だった。 
しだいに日が落ち、夕焼けが綺麗に真っ赤だったことを鮮明に覚えている。 
そんな中、突然ほかのクラスの、クラスの中でも活発な女子数名が教室に入ってきて、 

「今から怖い話するよぉ~!」 

私は怖い話が嫌いだったのでもう一人の友達と二人、別の教室でおしゃべりしていた。 
なかなか話が終わらないので、教室へ戻ると、教室の窓はすべてカーテンで遮断され、ドアの前には 
「見張り」の女子が立っていた。教室へ入ろうとすると、 
       . . . . . . 
「ダメダメ!今行ってるから!」 

     …いってる? 

わけもわからず他の教室へ戻り、しばらく待っていると、話を聞いていた一人の女子が教室にかけこんできた。 
見ると、ぼろぼろ泣いている。そして… 

私 「どうしたの?大丈夫?」 
女子「ひっく…か…おが…ぐちゃぐちゃ…」 

     ……ぐちゃぐちゃ?? 



448 : つづき[ ] : 投稿日:2003/06/07 21:58:00
するとさっき「見張り」をしていた女子が駆け込んできて、 

私  「ぐちゃぐちゃって何?どういうこと??」 
見張り「あーあ…そこまで聞いたんじゃやらなきゃだめだよ…死んじゃうよ…」 

私ともう一人の友達は半強制的にその教室へ連れて行かれた。見張りはやらなきゃ死んじゃうよ!夢が!事故が!としきりに叫んでいる。 
教室に入ると、数人の女子達が立っており、その前にいくつかの椅子が並べられていた。 
私達はそこに座らされ、まず次のようなありがちな怖い話を聞かされた。 

ターボ君という少年がいた。ある日ターボ君とパパとママが、海へ家族旅行に行くことになった。 
その途中、車ごと崖から落ちて家族全員即死。バラバラのぐちゃぐちゃになった死体を集めたが、どうしても 
ターボ君の左手の小指だけが見つからない… 



449 : つづき[ ] : 投稿日:2003/06/07 21:59:00
さて。 

「みなさんにはぁ、ターボ君の小指を探しに行ってもらいます。」 
「今からある4文字の呪文を唱えると、『ターボ君の世界』に行きます。」 

はぁ?拒否しても、「呪われる」だの「夢の中にターボ君がでてきて事故死する」だの。 

それから、『ターボ君の世界』の説明が始まった。 

「一度しか言わないので、ぜっっったい覚えてかなきゃだめだよ!一つでも間違えたらもうもどってこれないからね!」 

要約すると、 
①まず、真っ暗な道を一人で歩く。後ろからターボ君がついてきて、足音も聞こえるが、絶対に振り向いてはいけない。 
 友達が自分の名前を呼ぶ声が聞こえるが、ターボ君がつくる幻覚なので、反応してはいけない。 
②次に、木に提灯が引っかかっているのが見えるので、それを左手で取る。 
③電話ボックスがあるので、入ると、電話が鳴る。3回鳴ったら受話器を取る。そして何が聞こえても、けして答えてはいけない。 
    (略) 
最後に、神社に入って、神棚に祀ってあるターボ君の指を右手で取り、振り向く。そこにはぐちゃぐちゃになったターボ君が立っている。 
そして、ターボ君の顔をしっかり見て、指を渡す。けして目を背けてはいけない。 
すべての課程を通して、絶対に声を出したり、泣いたり、走ったりしてはいけない。ひとつでも間違えれば、永遠にターボ君の 
世界からかえってくることはできない。 

ちょっと待て。いきなりこんなにたくさん覚えろと言われても無理だ。話を聞き終わった時点で、私は提灯を取る手は 
右か、左かもわからなくなっていた。私はだんだんと不安になってきた。そして、恐ろしくなってきた。 
こんな話があるわけがない、こんなのは嘘だ、ばかばかしい、有り得ない。でも… 
 で も … も し … 



450 : つづき[ ] : 投稿日:2003/06/07 21:59:00
「それじゃあ、そろそろ行ってもらうね…」 

数人いた女子達が、一斉に私たちの周りを囲み、頭や身体を支えた。 

私 「なに!?」 
女子「向こうに行ったとき、こっちの世界では意識がなくなるから、倒れて怪我しないように、ね…」 

恐怖が頂点に達した。いやだ…こわい。行きたくない!私も友達もぼろぼろに泣きじゃくっていた。 

「じゃ、がんばってね…呪文、行くよ…いい?」 
「う…」 

もうだめだ。全部なんて覚えられない…きっと間違える。でも…やらなきゃ…いやでも本当かよ…嘘にしちゃ手が込んでるし… 
もう…だめだ… 

「そ…だ…よー!!」 

泣きじゃくる私たちを前に女子達が大笑いしていた。私たちはといえば、騙された怒りよりも、「行かなくて良かった…」という 
安堵で、もっと涙が出た。 


今思うとほんとにあほらしい。何であんなのに引っかかったんだろう。そして騙された私たちは何故この悪趣味な遊びにもっと怒らなかったのだろう。 
なきじゃくって教室に入ってきた女子の言葉で漠然な恐怖を抱き、長い時間を掛けて説明されることでいわゆる「洗脳状態」にされてしまったのだ。 
そして「覚えられない」=理解できない、自分の脳で把握しきれない 課程を与えられることでまた混乱し、それらが 
組合わさって異常な恐怖を生み出したのだろうと今は思う。 

しかし…その後もしばらくはやったんだよなぁ…へたすると思いこみだけで本当に意識失う人とかいそう。 
とっても危険で怖くて悪趣味な遊びだったんだなぁ…