66 : トラウマ[sage] 投稿日:04/07/19 20:55 ID:BlUeCGhp [1/6回]
噂話しじゃないんだが、あんまり人の居ないスレだからいいかな。 
ネタっぽくなってしまうが、まぁ聞いてくれ。 

その昔、俺は馬鹿な仲間3人と一緒に今で言う心霊スポット巡りをしていた。 
一人はポラロイドカメラを持って、怖いもの知らずでどこでも突っ込んで撮影する 
と豪語するカメラマン助手、もう一人は心理学を京都の国立大学で学ぶ学生で 
どこかで拾ってきたという電磁波だか磁場だかを計測する計器を持って 
もう一人はかなり霊感なるものがあるらしいのだが、 
見える!と断言できるほどではない気弱な男、そして俺は薄っぺらな知識で、 
浄霊ができると思い込んでたオカルトマニア。 
こんな連中であちこちを学生の所有する軽自動車で回ってた。 

俄か心霊学者になったつもりの馬鹿4人があちこちに行ってたんだが 
一応、報告書のようなものを作っていた。活動に参加できなかった者に 
その日の状況などを教えるため、それに証拠を残すためにだった。 
最近になってカメラマン助手と会う機会があって、その頃の話しをしたんだが 
その報告書ノートが無いのだが、持ってないか、との事だった。 
そのグループを解散した時に誰がそのノートを所有するかという話しをしたが 
結局、当時保管してた学生の下にあると思ってたのだが 
その学生が探していて、霊感男も見たいとの事だったのだが 
行方不明のままとなってしまっている。 


67 : トラウマ[sage] 投稿日:04/07/19 21:16 ID:BlUeCGhp [2/6回]
どれがネタとして聞いた話しで、どれが実際に行った話しだったか、 
あまり覚えてないのだけど、はっきり覚えている話しがあるので書いておく。 
それは俺が行ってない現場での話しで報告書だけを読んだものだ。 

京都市内北部の新興住宅地、その頃はまだそんなに開発されてなかった。 
バスが1路線ほどと、少し歩いた所に叡電の駅があって、と書けば 
解る人には解る地域。そこの住宅街の外れにある一軒の新築一戸建て、 
見た目は築数年程度の美宅なのだが、どうもおかしい。 
何がおかしいのかと言われても、おかしいとしか言えないような感じだった。 
明るく白い壁、しっかりした造りの2階建てのモダンな外装だった。 
しかし、その日は俺が仕事で行けないとなったのだが、他のメンバーの都合で 
どうしてもその日に行く事になった。 

話しとしては、最初にその家に入った家族は賃貸で入居、 
入居半年で父親が病気になり、その挙句に玄関で一家心中 
並んで子供まで首を吊っていたらしい。2件目の家族は分譲で入居。 
1年は普通に暮らしていたらしいが、やはり父親が病気になり 
子供を殺す寸前まで虐待した後、やはり玄関で自殺したらしい。 
事件性も無かったせいで、新聞に小さく載った程度だった。 
その後入居した家族も半年以内に出てしまうので、1年ほど空き家だという。 

物件の持ち主の不動産屋に知り合いがあり、調べに行くという話しになった。 
所詮は素人の集団なのだが、何があるのか確かめさせるためにも 
不動産屋は立ち入りを許可して、その後の対策を考える算段だったのだろう。 
馬鹿な俺達はそんな事も考えずに嬉々として鍵を預かり、準備をした。 
しかし、俺は急な仕事で行けなくなったと伝えると、どうでもいいと言わんばかりに 
3人は「残念だな」と言いながら出かけた。



68 : トラウマ[sage] 投稿日:04/07/19 21:58 ID:BlUeCGhp [3/6回]
そこで何があったのかは報告書の記載と 
彼等の話しだけしか無いのだが、あまり詳細は覚えてない。 

時間は午後10時前後で、周りは当然のようにまだ家も少なく 
人気もまず無い状態で、三人が入った事を知る者さえ居ないであろう状況だった。 
入った途端に「マズイ」と感じる状況だったという。 
電気も通ってなかったので当然の闇、長期にわたって窓さえ開けてないので 
澱んだままの空気、その闇と空気が普通じゃなかったという。 
それでも家の中でいろいろな部屋を調べるように回った。 
お得意の特攻撮影の足が止まったカメラマン助手、計器さえ見る事が出来ない学生 
家の前からずっと頭痛が治まらない霊感男。 
それまで多くの現場に行ったのに、ここまでの事は無かったと言ってた。 

気を取り直して再度の調査をすべく、一旦家を後にした彼等は 
自動販売機の明かりしかない道路脇で一服の煙草と缶コーヒーで 
少し落ち着きを取り戻して再び家の中へと入っていった。 
今度は先程と少し違って、落ち着きも取り戻したせいもあるのか 
幾分か部屋の様子も見えてきて、本来の役割を果たすべく活動開始。 
全部で部屋は4つ、一階には和室とダイニングキッチン、 
二階には洋室っぽい部屋が二つだったと思う。 

ノートの記入は学生がやってたので、計器の反応がどうのと書いてあった。 
数値は何の単位なのか最後までよく知らなかったが、 
2階の一室だけが異常な反応をしたらしい。それに霊感男もそこで吐いた。 
ポラロイドカメラでの撮影もシャッターが切れないというお決まりのパターン。 
最初はそんなにマズイという感覚は無かったらしいが、次第に雰囲気が変り 
シャッターが下りず、本格的にマズイ状態で霊感男が吐いた。 

霊感男は吐いた時に、この時だけは何かの存在を確認した。 
「これは逃げた方がいい」と意見が固まった瞬間、 
パッと辺りが明るくなり、ポラロイドのシャッターが切れストロボが光った。 
その時、三人が同時に見た光景は、読んだ俺もネタだと思うようなものだった。



69 : トラウマ[sage] 投稿日:04/07/19 22:26 ID:BlUeCGhp [4/6回]
彼等の目の前に現れたのは、煙よりも濃厚で、物質よりも淡い感じの塊で 
そこには数本の手足と顔のようなものが粘土細工のように混ざり合い 
薄いピンク色で形を形成する直前といったものだったという。 
一番怪しいと思った場所に、立ち去り際にカメラマンがシャッターを押したのだから 
当然そこには、その異様な物質を撮影できてもおかしくない距離だったという。 
しかし、一瞬だが固まってしまった三人は次の瞬間、まさに脱兎のごとく逃げ出した。 
「データは取れた」「何かを確認した」「写真は撮れてるはず」 
三人はさっきの恐怖も去る事ながら、成果の程に興奮していたという。 

吐き気と寒気に追われながら玄関までたどり着き、扉を閉めた時 
ハァ~~~~~、というため息とも叫び声とも呻き声ともつかない声を 
三人は聞いたという。恐怖に震える手で鍵を閉ざしてその場を後にした。 
学生のアパートの部屋まで10数分ほど車で走っている最中も 
恐怖と興奮で三人は話し続けたいたのだが、カメラマンが写真を手に 
震えるように笑いながら「撮れたよ」と言う。写真には明らかに先程見た光景が 
実際よりも薄くぼんやりではあったが写っていたという。 
部屋に着いたら明るい所でもっとよく見ようと、少し飛ばしながら帰った。 

部屋に着いて、まずさっきの写真という話しになり、カメラマン助手はポケットから 
先程最後にとった件のポラロイドを出した。しかしそこには、さっき車の中で見たのと 
少し違った感じでしか写っていなかった。さっきは確かにかなりはっきり写っていた 
そのピンク色の物質は、もやか煙のようにしか写っていなかった。 
しかし、その写真が変だという事には三人共に気づいてはいた。 
報告ノートには、その写真と一緒に、彼等の感想なんかも書かれていた。 
後日、不動産屋には2階の北側の部屋がどうも今回の一件の中心で 
専門家のお払い等が必要という報告をしたらしい。



70 : トラウマ[sage] 投稿日:04/07/19 22:29 ID:BlUeCGhp [5/6回]

しかし、ノートに残された写真を見せられた俺は当初、 
その写真の異常さに気づかなかった。そこには、すでに煙りもモヤも無く 
三人が慌てたように写っていただけだったからだ。 
カメラは手持ちで写していたのに三人写ってる。 
それに気付いた時、この報告を信じる気になった。 

その後、その建て売りは売れる事なく取り壊され、今はコンビニの駐車場になり 
その背後にあったスペースにはコンビニが建っている。 
そこが無縁仏の墓地だった事を知る者はあまり居ないけど。 

実際、心霊スポットなどに行って見たり感じたりする例は少ない。 
多くの者が夏場になると出かけていくようだが、怖くて帰ってきたという話しに 
少し付けた創作に尾鰭が付いて広まる怪談がほとんどだ。 
ただ、その後にくる事がある「何か」の存在までは語られる事は少ない。