21 : kagiroi ◆KooL91/0VI [sage] 投稿日:04/08/06 03:11 ID:uh6WmOzN [2/4回] 
ある日、いつものオフィスビルに出かけた時の事。 
大阪の有名なビル街ね。そこの中にあるビルのエレベーター 
外からも見えるシースルーなんだけど、 
12階まで上がるので奥の方に乗ってた。 
外はいい天気で昼下がりのポカポカした日差し。 

6階を過ぎたところで、誰かが乗ってきた。 
俺の居る場所からは見えないだけで、 
身体の向きを変えれば見られたんだけどね。 
ただ、なぜかそれがはっきりと男性だと解った。 
見えてないのに。それは臭いだった。臭いで解った。 
おじさん特有の臭いとかじゃなく、いつもの嫌な臭い。 
それが男性だと知らせるように、そちらから漂ってきた。 
「まずい」もしあの臭いなら、このエレベーターに乗ってるのはまずい。 
そう思ったけど降りるに降りられない状況。困った・・・


23 : kagiroi ◆KooL91/0VI [sage] 投稿日:04/08/06 03:24 ID:uh6WmOzN [4/4回]
>>21の続き 

もし、いつもの不吉な臭いだったとしたら 
このエレベーターが落ちても不思議ではないし・・・ 
でも、ここでふと思った。それなら全員からその臭いがするな。 
大丈夫、彼からしかしないから。ここで安心。 
この臭いの真偽さえはっきりしないのに勝手な想像をしていた。 

そして12階、最上階。俺が降りるために向き直ると 
臭いの発生源の男性を見る事ができた。この人かぁ。 
20代前半のスーツ姿の男性、やや長髪の茶髪。 
この人も12階だったのか。気になったので側を通った。 
出口で近寄った時には臭いはしなかった。気のせいか・・・ 
でも、その男性が歩く方向を変えて俺に向かってきて 
横を通り過ぎたその時、またあの臭いが強烈に漂った。 
ありゃ、やっぱり・・・でも、よく気のせいだという事もあるし 
悪い方向に考えるのも良くないからと気にとめないようにしていた。 

それから数日して、またそのビルに用事で出かけた。 
クライアントに会うと開口一番、 
「こないだ君が来た日ね、あの日の夕方、飛び降り自殺があったんよ」 
・・・ 
「若い男の子やったみたで、どこかの出入り業者やったらしいで」 

俺の嗅覚はたまに当たるので厄介だ。