357 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] : 投稿日:2002/09/28 02:04:00
祖父、母の父が亡くなって今年で13回忌になります。話は数年前のこと。 
祖父母は不仲だった様子で、祖父の遺骨は墓に納められる事もなく、延々と寺に置かれていました。 
母自身も祖父母とは不仲、故郷に戻る気もなかったようで、亡くなってからも帰郷することはありません。 

ある日、母は昼寝をしてました。ほんの数十分でしたが、夢を見たそうです。 
延々と続く位牌の列、その先には寂し気な顔をした祖父の姿。 
起きてきた母は「胸騒ぎがする」と、あれほど嫌がっていた帰郷を決意していました。 
父もその勢いに飲まれたのか、母の故郷への飛行機の切符を手配。週末には出かけていきました。 
<続く> 


358 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[] : 投稿日:2002/09/28 02:13:00
一泊してから帰ってくる母を迎えに空港まで出かけていきました。父と待ち合わせ、母を乗せた飛行機が到着。 
ロビーに降りてきた母は自分達を見つけると手を振り、急いでやってきました。 
自分達の顔を見て安心したのか、人ごみのなかで急に泣き顔。 
晩御飯を食べに入った空港のレストランで、話を聞いてみると… 

祖父の遺骨を預けていた寺に行ってみたそうです。 
祖父の家系の墓がどこにあるのかは自分は知らないのですが、そこは祖母の家系の菩提寺。 
急に訪れた母を見つけた寺の方は驚いて迎えて下さいました。 
案内されて行ってみた祖母の家系の墓…それはすごいありさまだったそうです。 
苔むして、雑草もぼうぼうに生えた本当に荒れ果てた墓。 
寺の方の話だと、祖母方の家系の方が墓参りに来る事は稀で、ここ数年は連絡のとれない状態だとか。 
あまりの姿に、母は泣きながら、謝りながら墓の掃除をしました。 
夢に出てきた、延々と続く位牌は、きっと○○家の皆さんなんだろうね、と 
掃除を手伝って下さり、母にお茶を出して下さった寺の方が仰っていたそうです。 
<続く> 



359 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[] : 投稿日:2002/09/28 02:31:00
祖父の遺骨にも手を併せ、花を手向け、寺の方にもよくお礼をして帰りの飛行機に飛び乗りました。 
本当に、こういうことってあるんだね、と家族で話しました。 

実は、母は吸入器を手放さず、薬も常備してる十数年来の喘息持ちなんです。 
実際、父も自分も母が旅先で発作など起こしていないか心配していたのですが、 
祖父との対面も墓参りも済ませ、どこか晴れ晴れとした母の顔を見て安心しました。 

…不思議なことは続くもので。 
この母の墓参りをきっかけにしたかのように、母の喘息が嘘のように軽くなっていったんです。 
もしかしたら、不仲とはいえ父を遺骨のまま墓に納めもせず放っておいた気負いが軽くなったせいかもしれないし、 
墓参りの数カ月後、見てもらっていた病院で新しく開発された薬の試験に母が選ばれ、上手くいってくれたこともあります。 
でも、それでも母のあの夢と墓参りの一件を考えてしまいます。 
我が家では「きっと、墓参りしてくれたから直してくれたんだよ」と話しています。無論、病院の先生方への感謝も忘れず。 

今では、その不仲のもう一方であった祖母も、いろいろ悶着もありましたが他界しました。 
祖父も無事墓に納めることができました。 
母は、帰郷する機会があると、祖母の家系の墓のほうへも足を向けているようです。 
先日、墓に誰が植えたでもなく「彼岸花」が咲くようになった、と寺の方に教えて頂きました。 
遠いので、毎年帰郷し墓参りする訳にもいきませんが、ただぽつんと墓があるわけではなく、 
自然に花が手向けられている、と思い、遠い場所から胸の中でだけでも手を合わせるようになりました。 
彼岸花が咲くと、今でもこの墓参りの話を思い出します。