592 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[] : 投稿日:2003/04/28 00:31:00
以前にクリエイティブなビル管理をしていたときのこと。
十四階建てで夜は徹夜する人はあまりいず、十二時をすぎると
警備員とビル管理員の二人だけになり、十一時半に時に警備員が最後の
巡回を終えると二人は寝てもいい勤務でした。
一階に集中管理室があるのですが、十二時を過ぎても眠くなかった
私はぼんやりと監視盤を眺めていました。
すると、8機あるエレベーターの内の一台がスーッと一階から
上がっていくではありませんか。
かなり大きい建物ですが、全て施錠してあるし、全部のフロアの
消灯も警備員が確認しているのですから、館内に人がいるはずが
ありません。
エレベーターの動きを見ていると9階で止まりました。
私はエレベーターの非常通話の受話器を取って、そのエレベーター
の内部の音をに耳をすませました。
しかし、シーンとしています。
人がのっていたなら、歩く音でもはっきりと聞こえるはずです。
ちょっと迷ったが、警備員を起して、「誰かいるみたい」というと
じゃ見てきてくれということになりました。
こ、怖い、なんて恥ずかしくていえません。
仕方なく懐中電気を持って・・・
599 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[] : 投稿日:2003/04/28 19:27:00
592の続きです。
人一倍気の小さい私はひざガクガクもので一階からエレベーターに乗り、
9階に着きました。
このビルの9階は民間会社ではないので徹夜する人は絶対に居ません。
それにエレベーターから降りて、オフィス内に入る前にガラスドアが
施錠されているので、エレベーターホール以外はどこにも抜けられないはずでした。
臆病な私はエレベーターからは出ずに真っ暗な暗闇に耳を澄ませましたが
何も気配は感じられませんでした。
すぐに下に戻って「きっと誤動作したんだよ」というふうに話を作り上げ
その日はそれで何も起こりませんでした。
このことは他の勤務員には言わなかったのですが、次の夜勤のとき、何か
気になって、十二時過ぎまで起きて監視盤から目を離しませんでした。
全てのエレベーターは一階に着地し、各フロアの最終退場者も施錠して
いることは警備員に確認済みでした。
十二時過ぎて、「あー、今日は大丈夫みたい」と安心して寝る準備を始めた
とき、目の端に監視盤上の一台のエレベーターがスーッと上昇し始めたのが
見えました。
二階、三階、四階・・・
とっさに非常電話を取り、耳を澄ませました。
機はやはり9階に停止すると、非常インターホンからチャイムの音と
同時にドアが開く音が聞こえます。
しかし、人の気配は全く聞こえません。
続く
600 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[] : 投稿日:2003/04/28 19:48:00
599の続き
私は正直言ってこの時点で怖かった。こういうときにはなぜか普段は
気にも留めなかった「このビルが出来るときに地面の中から空襲で
やられた人たちの人骨がたくさん出てきた」(実際隣は墓がありますし)
などと言う話を思い出してしまうのです。
しかし、職務柄無視するわけにはいけません。
本当なら警備員にも付いてきて欲しかったのですが、連絡係として
必ず一人は残ることになっており、自分ひとりで確かめにいくしか
ありませんでした。
巨大なビルは昼間賑やかなだけに真夜中は怖いです。
さて、この前と同じようにエレベーターに乗り、9階のフロアにつきました
誘導灯しか点いていないフロアは薄ぼんやりとしていました。
今度は勇気を出して、エレベーターから降り、懐中電気で照らしながら
エレベーターホールの中を少し歩いてみました。
やはり誰も居ません。
そのときです。施錠されたガラスのドア越しにオフィスのなかが
見えるのですが、女性らしき人が立っているのが見えたのは。
ワンピース姿でしたが、冬なのに半そでで立って書きものをしている
格好で、うつむいていて顔は見えませんでした。
でもこれだけで私にとってはもう充分です。
深夜すでに誰も居ない真っ暗な施錠されたオフィスに女性社員が
いるはずがありません。
全身に鳥肌がたち、あわててエレベーターに戻った時に
思い出しました。私が来る以前にこの9階に勤務する女性社員が
真夏のある日、屋上から身を投げたと言う話を。
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