365 : ライディーン ◆l6Nb5/63Rc [] : 投稿日:2003/02/12 20:39:00
3年前、代官山にあるクリエイチブなデザイン事務所で働いていた時のことですが 
その事務所が入っていた●ルサイ●テラ●は、建物がちょっと古めで 
しかもそこは事務所要ではなく、住居用として設計されたものでした。 

年末進行で、締め切りが重なりどうしても残業を余儀なくされて 
イヤイヤ残ってMacとにらめっこしておりました。 
事務所は2階建て(メゾネット)になっており、僕と同僚は2Fの 
作業室にいました。階下の1Fには誰もいません。 

その頃、同業の事務所の社長が事故でお亡くなりになって、 
その話を同僚と何気なくしていました。 
「あの社長、事故だってね。」 
「なんかあっけないよなぁ」 
「前に一緒に仕事した時は、結構良くしてもらったよ」 
「シメとか食わしてくれたしな」 

その社長はちょっと浮世離れしたところがあって、当時、僕らのような 
若手にも訳隔てなくつきあってくれて、僕らはご馳走になっていたりしました。 
なので、僕と同僚は本当に心の底から、亡くなった社長に対して 
懐かしく思い返したりしていました。 

366 : ライディーン ◆l6Nb5/63Rc [] : 投稿日:2003/02/12 20:40:00
その時、誰もいないはずの1Fから、男の声で咳払いが聞こえたのです。 
僕らは一瞬凍りつきました。 
なぜなら、その咳払いは、亡くなった社長のそのものの声だったのです。 
ちょっとくせのある咳払い、廊下の向こう側から聞こえると、いつも 
「あ、あの社長が来た!」とわかるほどでした。 

「お前、聞こえた?」 
「…うん、なんか声したよね。」 
時計は午前0時をちょっとまわったところです。 
「なんか…あの社長の咳っぽく聞こえちゃった。」 
「え?…そうかな?なんか外の通りじゃないの?」 

正直、恐かったので僕は誤魔化したくなって、ラジオのJ-WAVEを 
大きくして、伸びをしました。 
窓から下の通りを見ると、人影はありません。 
紛らすために、思い切って階段から下の1Fをのぞいてみても 
まっくらなだけで、誰かいる気配はありません。 

「あの社長、おれたち話してたから会いに来たのかもよ」 
「ん~なんか嬉しいこうな、恐いような…」 


367 : ライディーン ◆l6Nb5/63Rc [] : 投稿日:2003/02/12 20:41:00
とちょっと笑ったとき、会社の電話が突然 
「ジーンジーンジーン…」 
と、聴いたことも無いような音を出したのです。 
それは電子音が、変にゆがんだような、奇妙な音でした。 
今度こそ、僕と同僚は本当に凍りつきました。 
鳴っていたのはほんの1秒もなかったと思いましたが、本当に 
電話から鳴ったのかわからないような、頭に響く音でした。 

僕と同僚は、しばらく黙っていましたが 
「…なんだ今の?」 
「変な音したよなあ、この辺から」 
「やっぱ会いに来たのかな?」 
「そうかもしれんね…」 

その後、手持ちのCDを全部かけながら、なるべく騒がしくして 
仕事を続けました。 
恐かったけど、なんとなく嬉しいような、変な夜でした。