377 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[] : 投稿日:2003/04/08 18:32:00
この間、中部で雪が降りました。 
山間の方では大雪、雪崩注意報もでていて大変だったんですよ。 
4月になったって言うのに僕のいる山梨は甲府で2℃ 河口湖は-4度なんていうちょっと不思議な寒さでした。 

雪が降り始めるちょっと前 僕は遊びに行っていた東京からの帰りで甲府に向かっていました 
4日も遊んでいたせいで体はもうへとへとで のったらすぐに眠ってしまいました。 
車掌さんの声と友達のメールで意識をとりもどした時 僕と電車はちょうどトンネルの中で 
窓の外はまっくらで トンネルのライトが光の矢となってみるみる後ろに流れて 
メールは 明日の朝10時から 学園祭についての話し合いをしよう 
と言う内容のものでした 
当然僕はもうへとへとで  
かくかくしかじかですから 明日は 12時頃まで寝てます 
って言う電話をを友達にしようと思って  
光の矢を見つめながら トンネルを抜けるのをまっていました 
でも、なかなかトンネルは終わらなくて 
面倒だから メールにしようかな なんて思った そのときでした 

  
トンネルを抜けて いつもよりまぶしい光に目を細めていると 
そのまぶしい光の中に   雪が降っていました 
雪なんてあんまりふらない甲府の市民な僕は 
目の前で不意をついて行なわれた 白いデモンストレーションにまるで子供のような気分になって 
甲府にいるはずの その友達に ゆきだよ!ゆき! なんて電話して 
甲府ではまだ雨のはずなのに わざわざ気分もりあげて いいよね!ゆき! 
なんて言ってくれました。 

つづく 


378 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[] : 投稿日:2003/04/08 18:55:00
僕 どうでもいいから どうしても生で ゆき さわりたくなって 
僕のうちは甲府にあるのに 御坂で降りてしまいました 
次の電車まで40分 あと40分も雪とたわむれていられると思うと 
なにか得したような気分でした 
ほぼ無人駅のような御坂の駅の柵をこえて 僕は街に出ました 

雪のせいか まわりはとっても静かで ときどき通りすぎる 車やバイクの音も 
いつもより はやく 聞こえなくなってしまっていました 
ゆきがふってるんだなあ と思いました 
 そんな幻想的な雰囲気の中 コンビニに入って 現実に戻されてみたり 
 雪のせいで 自転車を引いている学生を手伝ってあげたり 

あっという間に 次の電車の時間になりました 
僕はまた 柵をこえて 電車がくるのを待ちました 
切符もちゃんとありました 
でも 電車がきません 
もう 20分もたっているのに もう 30分もたっているのに 

電車は 雪で 止まっていました 

僕は携帯でお母さんに 電話しようと思いました 
車で迎えにきてって 
でも やめました  
この気分を もう少し 満喫したかったから 
僕は 4日分の着替えが入った荷物を 駅のいすの下にかくし 
街とは反対側の 小高い丘を見ました 

今 思うと ここで電話をしていたら 
あんな不思議な目には会えなかった 
彼らには 出会えなかった  

つづく 



379 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[] : 投稿日:2003/04/08 19:37:00
もう 雪もだいぶ つもってきていました 
丘のほうは 前に降った雪も残っているらしくて いっそう 雪が深かったです 

一歩一歩 すねまで雪に埋まりながら 丘のむこうの景色を見たくて 登っていました 
この丘の向こうも林なのかな この丘の向こうは都会なのかな 
体ははあはあ言っていても かおは笑っていました 

僕のコートが真っ白になってきたとき ちょっとした踊り場のような 平坦な場所に着きました 
丘ももう頂上まであと一歩です 
うしろを見ると さっき ひと回りした街が ちょっと遠くまで見えました 

休む気もないので 踊り場を横切るように すすんで行きました 
だれにも踏まれていない雪の広場 
どうして広場なのか その時は 考えもせず 上を見て 進んで行きました 


すると 上から こどものこえ  
あれ?地元の子達がこんな丘の上まで遊びに来るのかな? 
それとも 山頂の学校? 
もしかすると この丘には もっとゆるやかな登り口があって  
僕はわざわざ急な斜面をえらんで登ってて ばか なのかな? 

僕は声のする方へ急ぎました  



380 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[] : 投稿日:2003/04/08 19:51:00
僕は丘を登りきりました 

丘の向こうには さっきみた街のような街がもうひとつ ありました 
どうやらこの丘は 街を分断する形でここにあったようです 
だから この丘にはなにもありませんでした 
学校も 子供があつまりそうな施設も 家も 
いちばん近い民家でさえ 丘の ずーっと 下のほう 

なのに 
僕の足元には 子供のあしあとが 
なんにんもの  子供のあしあとが 

雪が降り始めたのは さっき 
丘の頂上なので 古い雪はありません 
なのに 子供のあしあとが 
それに まだ どこからか きこえる こどものはしゃぎ声 
右を向けば左から 左を向けば右から 上を向けば下から 下を向けば上から 
きこえる気がします 

気味が悪くなって 帰ろうと思いました 
うしろを見ないで 丘をかけおりました 

さっきの 踊り場のような 広場まであとちょっと 
でも そこに 広場は ありませんでした 

さっきまで 広場があったところには おおきな池が 
広場だと思っていたそこは 池の上に古い雪がつもって できた広場だったのです 
池の中に崩れた雪のなかに 花束が 
雪が崩れたことで 顔を出した 地肌には 位牌が 

僕のあしあとには まとわりつくように 子供のあしあとが 
なんにんもの 子供のあしあとが  



381 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[] : 投稿日:2003/04/08 19:56:00
僕は 無事に 甲府に帰ってこれました 

丘から帰ってこれなかったこどもたちは 
僕に何を伝えたかったんだろう 

人のこない丘の頂上は 彼らの あそび場だったんだろう 

僕はあそび場を荒らしにきた いやな大人だったのかな 
僕はあそび場に来訪した めずらしいお客さんだったのかな 

雪がとけたら 花をたむけに行きたいと思います