2017年09月

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    大学の同級生だったKとは、卒業後も付き合いがありよく遊んでいました 
    上京してきた彼は、卒業後は一般企業に就職し、3年で退職して家業を継ぐことになり実家に帰りました 
    彼が実家に帰った数年後、その実家に遊びに行き、
    家の所有する山の山小屋でキャンプすることになりました 
    その山は、町から車で60分ぐらいの場所にあり、周囲には民家一つない本当の山奥の山小屋でした 

    【山小屋】の続きを読む

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    夜中に人がドタバタ走りまわる音や扉をキィキィ明け閉めする音で起きて、上の階の人かと
    思いしばらく耐えてた。 
    が、一向にやむ気配なく勘弁してくれと思い上半身だけ体を起こして、音のする方を探してたら亡くなった弟のお骨だった。 


    【納骨せずに私の部屋にお骨や遺影があるのね】の続きを読む

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    小さな田舎町での話。たぶんつまんない話だと思うけど。 
    20台前半くらいだったと思うが、少し頭の弱い(知能障害)町の名物お兄さんみたいな人が居ました。 
    時に奇声を上げながら自転車を乗り回しているみたいな人でしたが、何かしらユーモアがあって当時小学生の俺らにとっては格好のからかい相手でした。 
    頭の上で両手を合わせ、手放し運転で自転車に乗るのが得意技でした。 

    【絶対にここに近づくな】の続きを読む

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    「……あれで良かったのか?」 

    「え?」 

    観光でも、と言った俺の申し出を蹴って先輩が言う。 
    救われない少女を救出した気分だった俺の心に暗雲が垂れこめる。 

    「悪夢に関しては解決だろうな。けど、これからどうなるかはわからない」 

    「なんでです?俺達はちゃんと……」 

    「何故、あの人だけ悪夢を見ていたと思う?」 

    Oさんだけ夢を見ていた理由……? 

    「ええと……別の家の人間だから、でしょうか」 

    「正解。それがわかってるならあと一歩だ」 

    【犬神 後編】の続きを読む

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    「……さぁな」 

    「あれ、ここの子でしょうか。こっち見てるの」 

    女の子だろうか?窓からこちらを見ている。 
    ちょうど屋根裏で遊んでいたんだろうか? 

    「いいからほら、行くぞ。もう大体見当はついた」 

    「はい。ええと……チャイムは無いよな、やっぱり。すみませーん!ごめんくださーい!」 

    それなりに大きな声で呼んでみる。 
    しばらく待つと玄関の引き戸が開いた。 

    【犬神 中編】の続きを読む

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    俺は高校を出て、二年大学に通い、色んな事情で中退し、知り合いの占い師の所に本式にお世話になり始め。  
    日常ってこういうのだっけ、とか、何年かぶりにそう思っていた頃。 
    あの男が帰って来た。 
    俺の心配もどこ吹く風、へらへら笑いながら家を訪ねてきたその人は、またしばらくこっちで暮らすから、とそう言った。 

    「ああ、もうなんて言えばいいのか。いろいろありすぎて言葉になりませんよ」 

    「そうかそうか。寂しい思いさせて悪かったな」 

    「いや、まぁいいですよ。とりあえず、お帰りなさいでいいんですかね?先輩」 

    「おう、ただいま」 

    至極あっさりとした再会だった。 
    失踪が死亡になったんじゃなく、失踪がただの旅行だった事がわかったのだから当然といえば当然だが。 
    こうして再び、俺と先輩はつるむようになったのだった。 

    で、それから数日後のお話。

    【犬神 前編】の続きを読む

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    そんなことを言いながらふらふらと南の筋に入り、やがてその通りにあったビルとビルの隙間の細い路地へ身体をねじ込み始めた。太り気味の身体にはいかにも窮屈そうだった。 
    だめだ。酔っ払いすぎだ、これは。 
    「いいから、ついてこい。世界は折り重なってんだ。同じ道に立っていても、どこからどうやってそこへたどり着いたかで、まったく違う、別の道の先が開けるってこともあるんだ」 
    うおおおおおおおおお。 
    そんなことを勢い良くわめきながら、おっさんは雑居ビルの狭間へ消えていった。なんだか心魅かれるものがあった僕も、酒の勢いを駆ってついていく。 
    それから僕とおっさんは、廃工場の敷地の中を通ったり、古いアパートの階段を上って、二階の通路を通ってから反対側の階段から降りたり、 
    居酒屋に入ったかと思うと、なにも注文せずにそのまま奥のトイレの窓から抜け出したりと、無茶苦茶なルートを進みながら少しずつまた北へ向かい始めた。 
    ますます楽しくなってきた。街のネオンがキラキラと輝いて、すべてが夢の中にいるようだった。 
    気がつくと、また最初の幸町の東西の通りに戻っていた。随分と遠回りしたものだ。 

    【空を歩く男 後編】の続きを読む

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    平日の昼間にその場所に立っていると変な感じだ。 
    繁華街の中でも飲み屋の多いあたりだ。研究室やサークルの先輩につれられて夜にうろつくことはあったが、昼間はまた別の顔をしているように感じられた。 
    表通りと比べて人通りも少なく、店もシャッターが閉まっている所が多い。道幅も狭く、少し寂しい通りだった。 
    なるほど。どのビルも大通りにあるビルほどは高くない。良くて四階、五階というところか。

    聞いた話から想像すると、この東西の通りの上空を斜めに横断する形で男は歩いている。恐らくは北東から南西へ抜けるように。 
    その周囲を観察したが、特に人間と見間違えそうなアドバルーンや看板の類は見当たらなかった。 
    当然昼間からそれらしいものが見えるわけもなく、僕は近くの喫茶店や本屋で日が暮れるまでの間、時間をつぶした。 
    太陽が沈み、会社員たちが仕事を終えて街に繰り出し始めると、このあたりは俄かに活気づいてくる。店の軒先に明かりが灯り、陽気な話し声が往来に響き始める。 
    その行き交う人々の群の中で一人立ち止まり、じっと空を見ていた。 
    曇っているのか月の光はほとんどなく、夜空の向こうにそれらしい影はまったく見えなかった。 
    仮に…… と想像する。 

    【空を歩く男 中編】の続きを読む

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    大学一回生の春だった。 
    そのころ僕は、同じ大学の先輩だったある女性につきまとっていた。
    もちろんストーカーとしてではない。 
    初めて街なかで見かけたとき、彼女は無数の霊を連れて歩いていた。子どもの頃から霊感が強く、様々な恐ろしい体験をしてきた僕でも、その超然とした姿には真似の出来ない底知れないものを感じた。 
    そしてほどなくして大学のキャンパスで彼女と再会したときに、僕の大学生活が、いや、人生が決まったと言っても過言ではなかった。しかし言葉を交わしたはずの僕のことは、
    全く覚えてはいなかったのだが。 
    『どこかで見たような幽霊だな』 
    顔を見ながら、そんなことを言われたものだった。 
    そして、綿が水を吸うように、気がつくと僕は彼女の撒き散らす独特の、そして強烈な個性に、思想に、思考に、そして無軌道な行動に心酔していた。 
    いや、心酔というと少し違うかも知れない。ある意味で、僕の、すべてだった。 
    師匠と呼んでつきまとっていたその彼女に、ある日こんなことを言われた。 

    【空を歩く男 前編】の続きを読む

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    「座敷牢で死んだ伯父は密かに葬られたようですが、その後彼の怨念はこの地下室に満ち、そして六間の通路に溢れ出し、やがて本宅をも蝕んで多くの凶事、災いをもたらしたとされています」 
    師匠は机の上に積み重ねられた古文書を叩いて見せた。 
    その時、真奈美さんの顔色が変わった。そして自分の両手で肩を抱き、怯えた表情をして小刻みに震え始めたのだ。 
    「わたしが………… ぶつかったのは…………」 
    ごくりと唾を飲みながら硬直した顔から眼球だけを動かして、入ってきた狭い扉の方を盗み見るような様子だった。 
    その扉の先の、地下通路を目線の端に捕らえようとして、そしてそうしてしまうことを畏れているのだ。 
    師匠は頷いて一冊のノートを取り出した。 
    「あなたのお祖父さんも、何度か真っ暗なこの通路でなにか得体の知れないものにぶつかり、そのことに恐怖と興味を抱いて色々と調べていたようです。 
    このノートは失礼ながら読ませていただいたお祖父さんの日記です。 

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