2015年09月

    236 : 234[sage] 投稿日:2010/02/06(土) 05:32:08 ID:WOtrqvdH0 [3/6回(PC)]
    (続き) 

     目の前で反り返った二本の指を見て、Tが絶望的な悲鳴をあげる。 
    「ぃぃぃぃぃぃ」 
    「おい、折れかかっているぞ」 
     そう言うと、Tの口の中に指を突っ込み、歯茎ごと引っこ抜く勢いで奥歯を一本抜き取った。 
    「おや、ひとつ間違えた。ひひひひひひ」 
     今度は掌ごと口の中に突っ込み、 
    「面倒だ、まとめて引っこ抜くか」 
     と顎ごと引っこ抜こうと力を入れる。 
     気を失いかけていたTが新たな激痛に身をよじる。 
    「ぁぁぁぁぁぁぁぁ」 
     その時 
     タン、ベチャ 
     雨乞い師の力が緩んだのに気づいたTが見ると、雨乞い師の脇腹が大きくえぐれて血を吹き出していた。 
    「あ?」 
     タン、ベチャ 
     今度は右太ももが破裂し、血肉を飛び散らせた。 
     雨乞い師の手から力が抜け、Tは小島の上に放り出された。 
    「貴様らぁぁぁぁぁ」 
     咆吼する雨乞い師が周囲を見渡す。その顔が、 
     タン 
     破裂して頭蓋骨をへばり付けた頭皮がべろりと右側に垂れ下がった。 
     さすがに力を失った雨乞い師が石碑から落ちる。 
     Tが周囲を見渡すと、ため池を取り囲むようにたいまつの群れがあった。その中には銃口から煙を出す猟銃を構えている人影もあった。 
     何艘もの小舟が小島に取り付き、鎌や鍬、日本刀を持った村人たちが乗り込んできた。 
    「往生せい、往生せい、往生せい」 
     そう言いながら村人たちは手にした得物を雨乞い師に振り下ろした。 

    (続く)

     
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    234 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2010/02/06(土) 05:29:29 ID:WOtrqvdH0 [1/6回(PC)]
     これは大学の友人Tから聞いた話。 
     今年の夏、Tは家族と一緒に、香川の山奥にある父方の実家に帰省した。 
     香川は雨が少なく昔からため池が多いが、父の実家もため池に挟まれた道を通った奥、坂道を登り切った先にあった。 
     実家に向って左側のため池は、他と比べていくらか大きく、真ん中に四畳半くらいの小さな島があった。そして島の上には石碑があった。 
     石碑は村を救った雨乞い師の墓だと聞かされていた。 
     江戸時代のある年、何ヶ月も雨が降らず、作物にやる水どころか自分たちが飲む水すら乏しくなった時、流れの法師が村を訪れた。 
     村人たちの哀願を受けて、その法師が祈祷を行うと、数日のうちに村を雨が降り注いだという。 

     帰省してから数日後、昼間に寝過ぎたTは夜の村の散歩に出かけた。  
     心配する祖母に適当な事を言い、懐中電灯片手に村を巡った。 
     さすがに田舎の村は街灯が少なく、懐中電灯がないと足下が危なっかしかったが、風が涼しくなかなか心地よい散歩となった。 
     行きに来たとおりにため池に挟まれた道を通っていると、ふと左側に異変を感じた。 
     池の真ん中の島に石碑が建っている。 
     その上に人影が見える。 
     行きしに石碑を懐中電灯で照らした時にはそんなものはなかった。 
     ふいと、その人影がこちらを向いた。 
    「貴様は、あの家の者か?」 
     とあごで実家の方を指す。 
     距離があるにも関わらず、すぐ側から囁かれたように声が響き、思わずTはうなずく。 
    「そうか」 
     人影が何度もうなずいた。 
     懐中電灯を向けていないのに、人影の輪郭ははっきり捉えられた。あるいは人影自身が発光しているのかもしれない。 
     その姿は山伏に似ていたが、頭の小さな帽子以外に装飾らしいものは何一つなく、衣類の色は茶系統に見えた。 
     雨乞い師の霊? 
     盆でもあるし、そういう事もあるかとTが思っていると、不意に雨乞い師がこちらを向いた。 

    (続く)

     
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    201 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2010/02/04(木) 23:50:40 ID:by/kt61D0 [1/2回(PC)]
    子供の頃、俺の家の隣には母子家庭の親子が住んでいた。 
    子供は俺と同い年の女の子で、とても可愛いい娘だった。母親も美人で、とても優しい人だった。 
    お母さんの身体が弱かったのであまり裕福ではなかったけれど、二人はとても仲が良くて、幸せそうな親子に見えた。 
    俺と女の子は、家が隣同士だったこともあって、凄く仲が良かった。周りの友達から冷やかされたりもしたけれど、気にはならなかった。 
    俺はその子のことが好きだった。 
    子供心に、ずっとそんな平穏な日々が続いていくのだと思っていたけど、それは突然終わりを告げた。 
    小学校4年の時に、その子の母親が再婚したことがきっかけだった。 
    再婚相手は暴力団風の男で、定職にも就いていないようだった。昼間からブラブラしていて、おまけに酒癖が悪く、夜中に大声を上げて暴れる音が、俺の家にまで聞こえてきた。 
    その子の母親が、顔を腫らしている姿を良く見かけるようになり、女の子のほうも、手足に痣を作ることが絶えなくなった。 
    女の子の表情は日に日に暗くなって行き、心配する俺に「あの男がいるから、なるべく遅くなるまで家に帰りたくない」と言った。 
    俺は少しでもその子の力になりたくて、毎日、日が暮れるまで彼女に付き合って、外で一緒に遊んだ。 
    ある日の帰り道、彼女が「K君(俺の名前)、私のこと好き?」と聞いてきた。 
    俺は突然のことで驚きながらも、「うん、好きだ」と正直に答えた。 
    彼女は「じゃあもし私が何か困ってた時は助けに来てくれる?」と聞いた。 
    俺が「うん。絶対助けに行く」と言うと、彼女は嬉しそうな表情を見せて、俺の両手を黙ってギュッと握った。 
    彼女たち一家が姿を消したのは、その2日後のことだった。 
    近所の人の噂では、あの男のした多額の借金のせいで夜逃げしたらしい、ということだった。 
    俺は必死で彼女の行方を探そうとしたが、当時小学生だった俺の力では、何の手がかりを掴むこともできなかった。

     
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