216 : その6[sage] 投稿日:2009/12/27(日) 23:11:05 ID:7jwJJ7JM0 [6/10回(PC)]
「ザッ ザッ ザッ」
と、森の奥から何かが近づいてくる音が聞こえた。野生の動物か、野犬か。
コックリコックリと船を漕いでいた叔父も、その音に目が覚めた。
「明らかに人間に近い足音と気づいた途端、ゾッとしたね」
最初は奥さんが来た、と思ったらしいが、あの電話を終えてからこんな短時間でここまで来れるわけがない。
いや、あの電話は実は近くからかけていたとしたら…もしくは、他に仲間がいたとしたら…?
叔父は寒さなどお構い無しに、全ての窓や戸を開け、アウトドア用のナイフを手に、臨戦態勢で息を殺していた。
「ザッ ザッ ザッ」と言う音は一向に止む事はなく、明らかにこの小屋に向かっている。
「それから10分後くらいかな。もうな、普通にこの小屋を訪ねて来るように、玄関の戸に立ったんだよ。足音の主が」
「○○?(妻の名前)」
と旦那が叫んだ。が、すぐ、驚愕から恐怖の悲鳴に変わった。
「奥さんの様で、奥さんじゃないんだよ。顔は、ほとんど同じなんだな。だが生気が無いと言うか。
で、この真冬に素ッ裸だぜ? でな、最初は旦那は(妻の様なモノ)の裸に驚いて声を上げたと思ったんだよ。
違うんだよな。肌の質感も色も、木、そのものなんだよ。で、もっと怖かったのは、
左右の手足が逆についてるんだよ。分かるか? それが玄関に上がって来ようとしてな、
右足と左足が逆なもんだから、動きがおかしいんだよ。上がり口に何度もつっかえたりして。それが何よりおそろしくてなぁ」
確かに想像するだけでもイヤな造形だ。
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