2015年05月

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    153 : 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ [sage] 投稿日:2009/07/21(火) 20:59:31 ID:wmv7mFFi0 [1/4回(PC)]

    知り合いの話。 

    彼女の田舎の山村には、ゴンボスジと呼ばれる家があったのだという。 

    その家系は呪詛をよくしていたと言われ、恐れられていた。 
    ゴンボスジは畑に呪いを掛ける。 
    呪われた畑の根菜類を引き抜くと、藪睨みの目玉が幾つか付いていて、抜いた者を 
    睨み付けてから消える。睨まれた者は、程なくして死んでしまうのだそうだ。 

    ゴンボ(牛蒡)がよく呪われたそうで、故にゴンボスジ(牛蒡筋)と呼ばれるようになった、 
    そう伝えられている。 

    大層恐れられたが、何故か避けられてはいなかったようで、村はよくゴンボスジの 
    娘を嫁に迎え入れていたと聞く。 

    そしていつの間にか村の中に溶け込んでしまい、ゴンボスジは途絶えたという。 
    今でも村では


    「嫁を取ったら、絶対怒らせるな」


    と伝えられているそうだ。嫁がゴンボスジの血を引いていれば、
    相手にその意志が無くとも呪われるからだと。 
    ゴンボスジというのは女系の家で、まず女しか産まれなかったとも伝わる。 


    「・・・という、まぁ言い伝えレベルの話だけどねー」 


    そう言って彼女はカラカラと笑った。 
    相槌を打ちながら


    「この人は怒らせないようにしよう」


    と思う私だった。 

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    154 : 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ [sage] 投稿日:2009/07/21(火) 21:00:18 ID:wmv7mFFi0 [2/4回(PC)]

    山仲間の話。 

    シーズンオフに、一人キャンプ場で設備メンテナンスをしていた。 
    片付けが終わる頃には暗くなっていた。 

    続きは明日にしようと一人用テントに向かう。 
    中に入ろうと、入り口の幕に手を伸ばしたその時。 

    サァーッという軽い音と共に、内側に垂れていたネットが真横に裂けた。 
    裂かれた幅は三十センチほど。 

    鋭利な刃物で切ったかのように、切断面は非常に滑らかで綺麗だった。 
    幸い、それ以上テントが破壊されることはなかったという。 


    「あそこのキャンプ場、網切りがいるぜ。信じる信じないは勝手だけどな」 


    久方振りに会った飲み会で、彼はこんな話をしてくれた。 

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    38 : 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ [sage] 投稿日:2009/07/19(日) 20:28:24 ID:vOrrc8SA0 [3/4回(PC)]

    知り合いの話。 

    彼の親戚に、拝み屋の真似事をしていたお爺さんがいたらしい。 
    困ったことが起こると呼ばれて、的確な助言をしてこれを助けていたのだと。 

    当事者ですら知らない事を明らかにすることもあったそうで、近在では非常に有名な 
    存在だったという。 
    かなり離れた村からも、請われて足を運んでいたそうだ。 

    お爺さんのやり方は独特で、手にした竹筒に問題事を詳しく説明することから始まる。
     
    しばらくするとその筒を耳に当て、誰かと相談でもしているかのように相槌を打ち、 
    やおら解決方法を説明するといった具合だった。 


    「その竹筒がすべて答えを教えてくれるのかい?」 


    そう誰かに尋ねられた折、次のように返したらしい。 


    「タケイヅナといってな、稀に竹の節の中に小さな獣が生まれることがある。 
     それの入った節ごと切り出してな、酒や米をやって世話をしていると、人のために 
     働いてくれるようになるんだ。こいつがそれよ」 


    竹筒をポンと叩き、呵々と笑う。 


    「外に抜けるのは自由自在、人の目に写らぬほどはしっこい。 
     物事の通りを教えときさえすりゃあ、失せ物揉め事たちどころに解決って訳だ」 


    お爺さんが亡くなった折、この竹筒を貰い受けた親族は、何を思ったか鉈でスッパリ 
    半分に割ってしまったらしい。 

    居合わせた者の話では、中には何も入っていなかったといわれている。 
    ただ、獣臭が混じった酒の香りが、色濃く立ち上っていたそうだ。

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    37 : 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ [sage] 投稿日:2009/07/19(日) 20:26:18 ID:vOrrc8SA0 [2/4回(PC)]

    知り合いの話。 

    彼は仕事柄、山に籠もることが多いそうだ。 
    祖父が色々と教えてくれたのだが、その中に一つ変わった注意があったらしい。 


    「日付が切り替わる頃合にゃ、山ン中をうろつくんじゃないぞ。 
     この山ン中じゃ、時間ってのは連続して流れてないんだ。 
     昨日が終わって新しい日が始まる時に切り替わるのよ。 
     これが円滑に替わりゃ問題ないんだが・・・時折な、ズレが生じてる」 


    「そんな場面に出会すとな、ズレた所から妙なモンが見えちまうんだ。 
     この世の理の外にいるっていう外道がよ。 
     うっかり見つかって、引き摺り込まれたら帰って来れねえぞ」 


    この山じゃ百鬼夜行でも見えるのかいな。 
    そんなことを考えたが、言い付け自体はしっかりと守っているのだという。 

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    100 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2009/07/20(月) 06:42:33 ID:756IDn+60 [1/3回(PC)]

    六月、梅雨空の中久し振りにあの山中へと篭った。 
    二週間ちょいの日程で休みを取り、記憶の中のあの場所へと赴く。 

    途中で何泊かしながら数年ぶりに辿り着いたその川の辺は、それほど大きく変わる事も無く 
    静かな風情を晒しており、俺は僅かな歓びとひり付く様な痛みを覚えた。 

    しとしとと降り注ぐ雨に打たれながら手早くテントを張り、 
    前室の中で小さめに火を起こして飯を炊き付けてから竹竿を組み立て釣りを始める。 

    万が一の時の為にテントから離れ過ぎない様に釣っていたが 
    スレていない魚達は次々と針に掛かってくれ、 
    尺上の大物を始め良形の岩魚を三十分で十匹ほど釣り上げて 
    手早く捌き太目の枝に刺してから白い泡を噴いている飯盒を退かし、 
    粗塩をたっぷりと振って岩魚を焼き始めた。 

    ケトルに入ったスコッチをチビチビと飲り、少し酔ってきた俺は瞳を閉じ、耳を澄ます。 

    静かな山中に、パチパチと燃える流木の弾ける音と 
    サラサラと流れる水の音、そして蛙の合唱が響いていたが、 
    ふ、と蛙の合唱が止んだ。 

    瞬間、俺の心臓がドクン、と大きく鳴った。 

    己の身が震えるのを自覚しつつ目を開けると、視界の向こう、川の対岸に白いモノが揺れている。 
    俺は早鐘の様に脈打つ心臓を宥めながら、頭は全く動かさず 
    視線と焦点だけを対岸に揺れる白いモノへと向けた。 

    俺の眼に、薄暗闇の中に鮮やかに浮かぶ白と桃の着物を着た一人の女と、 
    その後ろに立つ、髯に埋った顔を持つ逞しげな男の姿が飛び込んでくる。 

    俺がのろのろと立ち上がるのを見て、女が妖艶な、だが微かに無邪気な笑みを浮かべた。 
    と、男が女を右手に抱え、一足飛びに川を越えて俺の目の前にやって来た。
     
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    36 : 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ [sage] 投稿日:2009/07/19(日) 20:25:13 ID:vOrrc8SA0 [1/4回(PC)]

    山仲間の話。 

    とある山に一緒に入っている時、その山に伝わる四方山話をしてくれた。 


    「ここの奥の森でさ、ブツブツと呟く声が聞こえてくることがあるんだって。 
     誰か居るのかと踏み込んでみると、ボロボロのシャレコウベが落ちているんだと。 
     そしてその髑髏の内側で、紫の蛇みたいな物がのたうっているとか」 


    「更に近よってみると、それって実は蛇じゃなく、太くヌラヌラした舌なんだと。 
     で、それほど側によると髑髏が何をくっちゃべっているのか聞き取れるとか。 
     何でも、これから起こる色々な悪い出来事を予言しているっていう話だ。 
     爺様連中はカタリって呼んでるらしい。 
     とんだ語り部が居たモンだ」 


    「上手く使えば、これからの災難を避けて通ることが出来るそうなんだが、これが 
     聞き続けていると、最後にあることを述べてから押し黙っちゃうんだとか。 
     そうなると、もう髑髏は何も喋らない。 
     あっという間に崩れて失くなる。 
     見掛けたら避けろ関わるなって、散々そう聞かされたモンだよ」 


    カタリが最後に述べる事柄って一体何なんだい? 気になって聞いてみた。 


    「運悪くそこに居合わせた奴の、命日だってさ」 


    辟易とした顔でそう教えてくれた。 

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    3 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2009/07/18(土) 04:17:07 ID:i6FPzj640 [1/1回(PC)]

    数年前に俺の田舎で見たものの体験談、それに対する住人さんの見解を聞きたくて。 

    田舎自体が過疎化の中にあって人気が少なかったんだけど、 
    その中でも町外れの山中にある戦時遺跡(砲台跡)を見に行った。 

    その存在を知ったのは通りがかった道路脇に小さな看板と矢印があったからだけど、 
    それ以外には何もない。数十年その町で暮らしていても全く耳にしたことがなかった。 
    ヒマしてたこともあってそこに車を停めて、矢印の方向へ進んでみた。 

    しばらくは道の形を留めていたものの、段々倒木にふさがれたり丈の長い草に 
    埋もれたりして、道なき道となっていった。 
    辛うじて進行方向がわかったのは、ところどころにやはり矢印つきの看板があったから。 

    それほど見たかったわけでもないけど今更引き返すのも癪なので、10分ほど歩いたと思う。 
    ふと道端にワンカップのビンと、腐って乾燥した花束が置いてあるのが目に飛び込んできた。 

    なんだこれは、と思ってその上を見上げると、手が届くか届かないかぐらいのところに 
    木の枝があって、それにロープが結び付けられてあった。そのロープは途中で切れている。 

    ここに来るまでの道はほとんど人の手が入ってなかったのに、なんでこんなところに? 
    と思いながら先へ進もうかと思った瞬間、はっと気づいた。 

    誰かが首を吊った跡、と考えれば矛盾がないなと。自分の血の気が引いていくのがわかった。 
    それに気づいてからは一目散に走って引き返した。後で親に聞いたところ、そういえば 
    何年か前にそのあたりで首吊り死体が発見されていた、という。 

    だけど不思議なのは、そのロープってほったらかしにしておくものかなと。 
    供養のために発見後に誰かが訪れているのも確かなようだし、そういった痕跡をそのままに 
    しておくかな。 

    とにかく時期が違えば自分が第一発見者になっていたかもしれないと思うと、 
    後味の悪い体験だった。

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    937 : 本当にあった怖い名無し[] 投稿日:2009/08/24(月) 02:45:16 ID:/QBP3fuE0 [1/1回(PC)]

    十年位前、メンヘラ女と付き合っていた。 

    当時の俺は金がなく、その女に食わせてもらってたんで、 
    メンヘラとわかった後も別れずにいたんだけど、 
    ある程度金が貯まった頃にやっぱりウザくなって半ば強引に別れた。 


    「死ねばいいのに」


    的な言葉を散々浴びせられた。 それから程なく体調が悪い日が続き、 
    ある夜、コンビニに行こうとマンションのエレベーターを降り、 
    外に出た所で、不意に


    『最近体調悪いのはアイツの生霊が憑いてるせいじゃないか?』


    と思い、 


    『もしそうだったら姿を現せ!!』


    って心の中で叫んだら周りの街灯が一斉に消えた。 
    ビビって街灯が消えて暗くなった夜道をコンビニまでダッシュした。

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    917 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2009/08/23(日) 15:24:37 ID:VSD1J0ZP0 [5/8回(PC)]

    ホテルで女と一緒に部屋に入って女はすぐに 
    風呂場に行きお湯の栓を開けた。 

    その時、部屋にまでドボドボと湯の流れる音が確かに聞こえた。 
    部屋でしばらく女と談笑して


    「そろそろお風呂もいっぱいかな」 


    と思ったとき、お風呂のお湯の出る音が全然してないのに気づいた。
    ?と思いながら、お風呂に行って見ると、お湯なんか全然出ていない。 

    それどころか浴槽には一滴もお湯は溜まっておらず、 
    カラカラに乾いている。 
    そもそもお湯の流れた形跡もない。 

    女は青ざめてるし、俺も確かに初めにお湯がドボドボ出る音を聞いている 
    のに浴槽が流れた後が全く無いとは? 

    栓をひねったらお湯も水も出てきたから断水でもない。 

    色んな状況を考えてみたが、未だにこの現象が何だったのか分からない。

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    788 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 16:11:10 ID:KVNE2408O [1/2回(携帯)]

    二年前ぐらいかな。 

    プロレス関係の知り合いから、控え室あたりに居てるからおいでよ、とパスをもらった。 
    あまりプロレスには興味がなかったので裏で知り合いや裏方さんと喋ってたんだ。 

    するとグレートムタ選手が控え室に入って行くのが見えた。 

    グレートムタは知ってたのでサイン貰っていいか知り合いに聞いたら、
    グレートムタからサインもらえたらな、と意味深に言われた。 

    待てども待てどもグレートムタは出てこない。 

    その日の興行が終わっても、スキンヘッドのでっかいおっさんが一回出て行っただけ。 
    失礼して控え室みたけどもぬけの殻。 

    グレートムタは魔界から来てるらしいけど、控え室のどこかに魔界に通じてる扉があったのだろうか?
     
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